Archive for 3月, 2023

【活動報告】自分でつくった巣箱で野鳥を観察しよう!3月の「里山の生き物サポーターズ」

日曜日, 3月 19th, 2023

3/19(日)に3月の「里山の生き物サポーターズ:鳥の巣箱づくり」を開催しました。
今回は、野鳥の暮らしを観察する一つの方法として「鳥の巣箱づくり」にチャレンジ!

巣箱を利用する野鳥は実は野鳥全体のごく一部です。はじめに巣箱を利用する鳥、鳥の種類によって違う巣箱の形、巣箱は子育て時に一時的に使われる場所であること、巣箱をかける時に注意することの話を聞きました。巣箱が野鳥にとってどのような場所になるのかを理解したうえで、巣箱を作ります。
今回は主にシジュウカラを想定した巣箱づくりを行いました。

材料と設計図を基に、板に線を引き、ノコギリで切断し、巣箱のパーツをそろえていきます。


切りそろえたパーツを釘打ちし、組み立てていきます。
少しいびつな形になるのも手作りならではです!

各々、素敵な巣箱が完成!巣箱の入り口の下に台をつける方もいました。


巣箱づくりを通じて、野鳥の暮らしの観察や身近な自然の理解が深まることにつながることを期待しています。
どんな野鳥が巣箱を利用したのか、ぜひ教えてくださいね!

<開催報告>第12回つまり市民里山学会

木曜日, 3月 16th, 2023

3/12(日)に第12回つまり市民里山学会を十日町情報館を会場に開催しました。令和元年度から休止をしてきましたが、今回4年ぶりの開催となりました。
十日町市と津南町からなる妻有(つまり)地域の里山の自然や文化に関する5つの発表が行われ、活発な質疑が行われました。

トップバッターは、十日町高校生物部の皆さんによる「十日町市に生息するホトケドジョウについて」に関する発表です。

新潟県の絶滅危惧種に指定されている魚類ホトケドジョウの生息地を市内で確認し、生息環境の調査や個体数推定、絶滅確率の推定など、基礎的な生態調査から保全につながる知見や考察などを発表していただきました。
生息地は現在圃場整備が計画されており、生息地の消失が懸念されています。地域個体群の絶滅を防ぐにはどうしたらよいか、保全策の検討についてもお話いただきました。

津南町教育委員会文化財班・ジオパーク推進室の佐藤信之さんからは、昨年再認定となった「苗場山麓ジオパーク」の活動紹介についてご発表いただきました。

津南町と長野県栄村に広がる苗場山麓ジオパークを構成する様々なサイトをご紹介いただきながら、エリア全体の歴史的な形成史やその空間的な広がりの特徴について俯瞰的にお話をいただきました。
また、地域の教育や観光の側面から展開されている様々なご活動・地域の取り組みについても、具体例をもとにご紹介いただきました。

十日町市博物館古文書整理ボランティアの皆さんからは「心に残ったわたしの1枚 ~写真が語る十日町の暮らしと人々」と題して、約4万点にのぼる山内写真館資料の整理と得られた成果について発表いただきました。

発表は4名のボランティアの皆さまからもご登壇いただき、各々が選ばれた写真のご紹介を詳しくしていただきました。当時の暮らしや産業の片りんを垣間見ることができる、貴重な資料の数々をご紹介いただきました。
3月23日(木)まで、発表に関する写真展が情報館ギャラリーにて開催されています。第14回山内写真館資料写真展「昭和の十日町~心に残ったわたしの1枚~」、ぜひご覧ください。

休憩をはさみまして、まつのやま学園6年の小林さんからは「トノサマガエルはなぜ絶滅危惧種になったのか?-田んぼの「中干し」とオタマジャクシの上陸時期の関係-」について発表いただきました。

小林さんの研究は今年度の「いきいきわくわく科学賞2022(第58回新潟県児童生徒科学研究発表会)」で県知事賞を受賞されています。トノサマガエルのオタマジャクシの上陸時期が、田んぼの中干しのタイミングに間に合わないことを、8種類のカエルと比較から研究した成果を発表していただきました。

最後はキョロロの富塚研究員とまつのやま学園5年生の井上さんらによる「新潟県初記録の昆虫の死骸から発生する珍カビ発見秘話」についての発表です。

2019年の夏、井上さんらにより新潟県初記録の昆虫から生えるケカビの1種スポロディニエラ・ウンベラータがキョロロの森で発見されました。
本種の特徴や世界での発見の歴史、また2019年夏に発見された際のエピソードが発表されました。

5題の発表に対して、会場からはたくさんの質問が飛び交い、活発な質疑応答が繰り広げられました。
つまり市民里山学会は、市民の皆さんの活動について発表する場を設けることで、お互いに学びや交流を深め、活動内容の充実を図ることを目的としています。
地域の自然や文化の価値の理解を深め、そしてその保全や活用に向けて、市民の皆様の今後の積極的な取り組みの一助となりますことを、今後とも期待しています。

<開催報告>「探究×雪虫」モニターツアー【捕獲せよ!豪雪の上を歩く謎のムシ「雪虫」 -里山の自然科学館で生物多様性を調べる探究学習の旅-】

土曜日, 3月 11th, 2023

2月25日(土)に雪上に出現する不思議なムシ「雪虫」をテーマとした探究型自然体験のモニターツアーを実施しました。
オリジナル採集道具「吸虫管」づくり、雪虫の採集と観察・標本づくり、挑戦状ワークシートで館内見学など、雪虫をキーワードにした里山の生物多様性について、体験的に理解を深める内容です。

県内外から、たくさんの皆さんからご参加いただきました。
自己紹介や本日の流れの説明の後、さっそく「吸虫管」づくりからスタートです。

「吸虫管」は小さな昆虫専用の捕獲道具です。
今日のターゲット「雪虫」を採集する道具を自作しました。


その後、スノーシューを履いて野外で雪虫を探しました。今回はキョロロのすぐ隣のスギ林で探します。
淡雪がちらちらと降る雪景色の中、降雪中はなかなか雪虫を見つけるのは大変なのですが・・・

「あっ!いた!!」「こっちにもいた!」
幹の周りを探してみると、雪上にいる小さなムシたちが次々に見つかりました!




ここで先ほど自作した吸虫管の登場です!

管の先端を雪虫に近づけ、もう一方の管を吸うと、次々に小さな雪虫が管に入ってきます。
クモの仲間、トビムシの仲間、いろいろいそうです。



捕獲した雪虫を室内でじっくり観察します。
「足は6本ある!」「触角が長い」「これは足が8本だから・・・クモ⁉」
顕微鏡のモニターに映し出された雪虫たちが、どんな形をしているのか、どんな生き物の仲間なのかを調べていきます。



観察した雪虫を標本にすることが今回のゴールの一つ。
小さな雪虫を標本にするのはなかなか難しいのですが、みなさんピンセットや針などを上手に使いながら標本を作っていきます。
また科学的価値もった標本を残すために、ラベルに採集地・採集日・採集者などをしっかり記入し標本につけました。
今回採集した雪虫は、研究員がその後同定作業を進め、国際的な標本データベースへの登録も行います。


ワークシートをもとに、雪虫の特徴を探り、また「なぜ、雪虫は雪上に現れるのか?」について、各々考えてみました。
エサを食べるため、体温を温めるため、など子どもたちはいろいろなアイデアを考え、発表してくれました。



最後は挑戦状ワークシートをもって館内見学もお楽しみいただきました。

今回の探究体験にはキョロロの4名の学芸スタッフがサポートしながら進行しました。



スノーリッチな里山に現れる謎のムシ「雪虫」をテーマに、自然科学館で里山の多様性を体験的に探究しました。
雪が降る地域・季節ならではの体験として、雪虫をテーマとした体験を引き続き開催していきたいと思います。
ご参加いただいた皆様大変ありがとうございました。