専門学校生とザリガニ捕獲・調査作戦【里山の生き物サポーターズ】
2025年 9月 21日at 8:54 AM kyororo @③イベントだより
里山の生物多様性をキョロロと参加者が一緒になって保全するイベント「里山の生き物サポーターズ」。
9月20日(土)のサポーターズ活動ではキョロロの池に侵入したアメリカザリガニの捕獲・調査活動を妙高市にある専門学校、「国際自然環境アウトドア専門学校(i-nac)」の学生と一緒に実施しました。

▲捕獲したアメリカザリガニ
今回の捕獲&調査作戦ではキョロロの森にある3つの池にワナを仕掛け(池1~3,下図参照)、それぞれの池で捕獲したアメリカザリガニの雌雄ごとの個体数とメスの体内の卵巣の発達度合を調べました。
その結果、池1では104個体(♀54、♂50)、池2では21個体(♀13、♂8)、池3では38個体(♀25、♂13)のアメリカザリガニを捕獲しました。

▲アメリカザリガニを捕獲・調査した池1~3

▲捕獲したアメリカザリガニの雌雄を調査する様子
各池におけるアメリカザリガニの卵巣の発達度を比較すると、池1では卵巣が未発達の個体から既に産卵済みの個体まで幅広く捕獲できたのに対し、池2では卵巣が未熟または未発達な個体が主でした。一方で池3では中程度の発達度合の卵巣を持つ個体が多いという特徴がありました。

▲各池のアメリカザリガニの卵巣の発達度の割合
調査結果から池2、3の中ではアメリカザリガニはまだ繁殖していないことが予想されます。これらの池では罠を継続的に設置してアメリカザリガニの繁殖が行われる前に可能な限り個体数を減らすことが必要だと考えられます。
一方で池1では既に池の中でアメリカザリガニが繁殖していると考えられ、アメリカザリガニの流出を防ぐ対策が必要だと思われます。
さらに今回の活動では調査だけでなく捕獲したアメリカザリガニの調理、実食にも挑戦してみました。

▲アメリカザリガニの素揚げに挑戦中
通常アメリカザリガニはおよそ1週間ほど綺麗な水で泥抜きをしてから調理します。しかし今回はあえて捕獲した直後のアメリカザリガニの実食にチャレンジ!!
アメリカザリガニの尾びれを引っ張って消化管(背ワタ)を抜き取り、切り離した腹部の外骨格を剥いて下拵え。素揚げと塩茹でで味わいました。

▲綺麗に剥かれたアメリカザリガニの腹部
丁寧に下拵えしたアメリカザリガニの身には泥臭さは無く、素揚げと塩茹での両方でエビに似た濃厚なザリガニの旨味を味わうことができました。
実験的に外骨格を剥かずに塩揉みしただけの腹部も塩茹でで食べてみました。こちらは臭みが残ったものと無いものの両方があり、臭みが無いものは美味しかったのですが、臭みをとる方法について更なる研究が必要でした。
今回の生き物サポーターズでは「保全」「調査」だけでなく「活用」を含めた3つのステップで活動を行いました。アメリカザリガニは非常に厄介な生物ですが、美味しい食材でもあります。簡単な活用法が見つかれば捕獲活動が促進される可能性もあります。泥抜きという時間のかかる工程が無くとも調理法次第では十分に美味しく食べられることが分かったことで、アメリカザリガニの簡単レシピも作れるかもしれません。もし皆様の中でザリガニの味に興味がありましたら是非とも捕獲活動にご協力をお願いします。
