子供の夜泣きに困り果てた夫婦が、捨て子にしようと決心し、人目につきやすい街道の松の根元に子供を置いて立ち去ろうとしたが、無心に眠るかわいい我が子を見て決心が鈍り、背負って家に帰った。するとその晩は、不思議にも子供はすやすやとよく眠った。
見ると子供はしっかりと松の皮を握ってるので、捨てようと母親が取り上げると子供はまた火のついたように泣き出した。びっくりしてもう一度それを子供の手に握らせると、子供は再び安らかに眠った。

この話は遠近に広まり、人々は「夜泣き松」と呼んで尊崇し、松の霊力を慕って訪れる親子は後を絶たなかった。
幹は、永い間ひそかに次々とはぎとられ、また、松食虫の害を被るなど倒木の恐れが増したため、昭和61年に惜しまれながら切り倒されましたが、二代目の「夜泣き松」として赤松・黒松の夫婦二本の松が植えられ、子育観音地蔵尊と記念碑が建立されています。

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