自然を活かした『地域を創るサイエンス』を目指して

世界有数の豪雪地である十日町市松之山には、多雪地特有の生物多様性が育まれており、これを拠り所に特有の伝統知が育まれ、人々は持続的に里山の生物多様性の恵み(生態系サービス)を利用してきました。少子高齢化など里山の社会的課題を背景に、里山の自然や文化を将来にわたって受け継ぐためには、その価値が持続的に活用され、地域づくりにつながることが大きな力となるでしょう。
「森の学校」キョロロは、自然科学館として地域の生物多様性情報を収集・保管・発信するのみならず、この成果を「地域づくり」につなげることを大きな目的にしています。里山の魅力や価値を「みんなで調べ、つなぎ、伝え、行動する」博物館活動を通じて、地域資源を「活用」しながら「のこす」ことが、生物多様性の恵みを活かした協働の地域づくりにつながると考えます。
このような博物館活動を有機的に「地域づくり」につなげるために、様々な主体の参画や主体間の情報共有・発信の仕組みづくりが必要です。
キョロロでは、「等身大の科学」「住民皆科学者」「地域全体博物館」というコンセプトの元、松之山の里山に関わる一人ひとりの行動が地域づくりにつながるよう、自然科学館の機能を活かした仕組みづくりに取り組んでいます。
等身大の科学
サイエンスは身近にある。
私たちが自然を理解するために「科学」はとても有効なツールです。しかし、科学は決して専門家だけのものではありません。 地域住民が生活の中で伝統的に育んできた自然への観察眼・伝統知は、里山の自然の理解に大きなヒントを与えてくれることでしょう。
また、自然を前にした「なぜだろう?」「もっと知りたい」 「なるほど」と思う素朴な疑問、等身大の好奇心・探究 心が、地域の自然の理解や課題解決につながる大きなきっかけになります。 里山の自然を前にノスタルジーに留まるだけではなく、そんな等身大の視点「等身大の科学」から里山の深い理解を実現するために、様々な気づきや関わりを促す展示や体験イベント、市民協働調査を開催しています。
住民皆科学者
博物館の主役はキミだ!
キョロロでは展示ケースの中にある展示物だけが博物館の主役ではなく、博物館に関わる「人」を主役にし たいと考えています。
里山に暮らす人々の中には、地域の自然に対して豊富な知識と観察眼を持つ方々がおられ、地域内外の里山の自然に対して強い関心を持ち、より詳しく知りたいと考えている方々もたくさんおられます。
地域全体博物館
あたりまえのものが宝物。
里山の自然や文化の中にある一見何も珍しくないようなコトやモノも、博物館を通して観てみると何物にも替えがたい宝物になる場合があります。そんな地域資源の価値づけ、意味づけは、博物館が持つ「地域を調べる」という機能により支えられています。
キョロロでは、様々な皆さんと共に、里山に当たり前にある「コト・モノ」を調べ、価値を見つけ、発信していくことに取り組んでいます。そのために、里山の生物多様性や伝統的な文化に関する様々な地域資源情報を発見・調査・共有化し、『地域全体博物館』の実現を目指しています。


スタッフ
【館長】 本山敏雄
【副館長・業務係長】 小海修
【主査・学芸員】 小林誠
【研究員】 富塚茂和、加藤大智、大平創
【管理員】 相沢恵一、天田晴美
【事務員・ 受付】相沢まさこ、福原正子