Archive for the '④キョロロ雑記' Category

【開催報告】出張自然観察会②100年後の市民に伝えたい!十日町市の自慢の自然探し in まつだい「農舞台」フィールドミュージアム

土曜日, 7月 11th, 2026

7月5日(日)、博物館登録記念事業【出張自然観察会】の第2回をまつだい「農舞台」フィールドミュージアム周辺を会場に開催しました。
この観察会では、2026年の十日町市の自然の「今」を、市民の皆さんと一緒に記録し、100年後の市民へ伝える資料として残すことを目的としています。
博物館には、資料を集め・調べ・守り・未来へ伝えるという大切な役割があります。今回の自然観察会は、その仕事に市民の皆さんにも参加していただく特別企画です!
開催にはNPO越後妻有里山協働機構さまにご協力をいただきました。

棚田の自然で生きものを探す
今回のテーマは【棚田の自然】です。
農舞台から渋海川を挟んで対岸には、棚田に農作業をする人々の姿をかたどった彫刻が配置された棚田があります(大地の芸術祭作品:イリヤ&エミリヤ・カバコフ / 棚田)。

▲大地の芸術祭作品:イリヤ&エミリヤ・カバコフ / 棚田

十日町市を代表する里山景観である「棚田」には、水辺とそれに隣接する草地や林縁など、様々な環境が含まれます。前半はたも網で水辺の生き物を、後半は陸用の網に変え草地や林縁の生き物を探しました。
ため池の中にはクロサンショウウオやモリアオガエルといった両生類の幼生が見られました。脚も生えそろそろ上陸間近。ヤゴやゲンゴロウの仲間といった昆虫の姿も見られました。
周辺の草地や林縁では、トンボの成体やバッタ類、多様なクモの仲間が多数みられました。


採集後は農舞台館内に移動し、それぞれの種を学芸スタッフと一緒に同定しました。
採集した生きものは、今回もチャック付き袋に入れて、ガラス窓に張り出し観察しました。
採集後には、学芸員・研究員によるミニ解説も行い、それぞれの生きものの特徴や暮らしについて学びました。



田んぼはお米を生産する場所でありますが、そこには様々な生き物が暮らしています。
里山で農業を営む場所は、多くの生き物の命を育む場所でもあることを、参加者の皆さんと共有しました。

最後に、参加者それぞれが採集した生き物の中から1種を選び、採集情報(日時・場所・採集者・種名)とともに、100年後にこの標本を見る市民に向けたメッセージを書きました。
「エラがかわいいサンショウウオの幼生。100年後も自然の中で生息していますか?」
「100年後も田んぼに生き物がたくさんいますように」
「いつまでも人と自然がかかわる十日町市でありますように」
「100年後も田んぼで生き物探しを楽しんでください」
など、参加された皆さんそれぞれが、生き物への思いや未来への願いを込めてメッセージを書いてくださいました。
こうした言葉は、単なる標本ラベルを超えて、「2026年の十日町に暮らした人々が、どのような自然を大切に思っていたのか」を100年後の市民に伝える、大切なメッセージになることでしょう。

今回集めた標本とメッセージは、後日キョロロで標本化し、博物館資料として保管・活用していきます。
100年後の誰かが、この標本とメッセージを手に取り、2026年の十日町市の自然と、そこに暮らす人々の思いに触れてくれるかもしれません。
身近な自然を観察する楽しさとともに、未来へ資料を残す博物館の役割を体験していただける観察会となりました。
ご参加いただいた皆様、大変ありがとうございました。

次回のご案内
次回は、9月5日(日)13:30~15:30に、清津川フレッシュパークを会場に、【川】の環境をテーマに開催します。

【定員】各回20名(申込開始は各回1か月前から)
【参加費】無料

参加お申込みは、お電話または以下のフォームから!
キョロロイベント予約申込フォーム

ご参加お待ちしています!

【右巻き?左巻き?ネジバナの秘密】まつのやま学園自然科学部

木曜日, 7月 9th, 2026

\右巻き?左巻き?ネジバナの秘密/
7月9日のまつのやま学園自然科学部の活動は、この季節、公園や芝生の草地に咲く身近なランの仲間「ネジバナ」がテーマです。

ネジバナは、小さなピンク色の花がらせん状にねじれながら咲くのが特徴です。

このねじれには「右巻き」と「左巻き」があります。
今回の自然科学部では、まずキョロロ館前の草地で、右巻きと左巻きの割合を調べてみました。

最初に、「右巻きと左巻き、どちらが多いと思う?」と予想を立てます。
「半分ずつになるのでは?」

「北半球だから左巻きが多いのでは?」
理由とともに、右派・左派・半々派に分かれました。それでは、実際に調べてみましょう!



地面に這いつくばりながら、もくもくとネジバナの巻き方を調べます。
「右巻き、1!」「左巻き、2!」
そんな声が草地に響きます。

調べたのは全部で205本。
右巻きと左巻きの割合は1:1になることが多いとされていますが、今回の結果は、右巻き88本(約42.9%)、左巻き117本(約57.1%)となり、左巻きの方がやや多い結果となりました。
「どうして左巻きが多かったんだろう?」
結果をもとに、みんなでさまざまな仮説を考えてみました。

さらに観察を続けると、「このネジバナ、あまりねじれていない!」という新たな発見もあります。
これについても、ねじれの角度が「大きい/小さい」ことの理由について、みんなで考えてみました。

足元に広がる身近な自然には、生きものたちの不思議がたくさん隠れています。
今回はネジバナのねじれに着目し、観察・調査・考察を通して、里山の植物のおもしろさを探究しました。
皆さんも芝生や草地でネジバナを見つけたら、ぜひ右巻きか左巻きか、そしてどれくらいねじれているのか、じっくり観察してみてください!

【まつのやま学園自然科学部】
キョロロでは、まつのやま学園と連携し、キョロロを舞台に自然科学部の活動を展開しています。
週2~3回、放課後の1時間。里山の自然を自然科学の視点で探究し、楽しんでいます!

【まつのやま学園「雪里留学」】
キョロロの近くにある小中一貫・まつのやま学園では、里山の豊かな教育資源を活用した自然体験・生活体験に根ざした特色ある学習活動を展開しています。
子どもたちの「豊かに生きる力」を育むことを目指し、学区外・区域外からの就学制度「雪里留学」をスタート。雪里留学生として児童・生徒を広く募集・受け入れています。
1週間程度の「お試し就学」も可能で、自然環境を活かしたカリキュラムを体験できます。
キョロロでは、理科や総合的な学習の時間、緑の少年団活動、自然科学部、探鳥会などの教育活動を連携して展開しています。

【開催報告】春季企画展講演会「地すべりと棚田-動く大地と共に生きる里山-」

日曜日, 6月 21st, 2026

6月21日(日)に春季企画展特別講演会「地すべりと棚田-動く大地と共に生きる里山-」を開催しました。

講演会では新潟大学 災害・復興科学研究所の渡部直喜先生から、「地すべりと棚田 -動く大地が育んだ里山のめぐみ-」と題してお話をいただきました。
渡部先生からは、地すべりのしくみや松之山に地すべりが多い地質的背景、そして地すべりによって形成された緩やかな斜面が棚田の立地条件となっていることなどについて、豊富な事例を交えながら分かりやすく解説いただきました。
地すべりは時に災害として人々の暮らしを脅かす一方で、棚田や里山の景観、農業を支える基盤ともなっていることをご紹介いただきました。
数百万年という大地の歴史と、現在の里山の景観や暮らしがつながっていることに、参加者の皆さんは深く聞き入っていました。

後半は、松之山朗読会の皆さんによる「杢坂と杢兵衛伝説」の朗読をご披露いただきました。
「杢坂と杢兵衛伝説」は、十日町市松之山兎口地区に伝わる地すべり伝説です。約500年前、地すべりによって村が危機に直面した際、杢兵衛は村人を救うため自ら人柱となったと伝えられています。
現在も「杢坂」の地名として語り継がれ、地すべりと共に生きてきた地域の歴史や、故郷を守ろうとした人々の思いを今に伝えています。
松之山朗読の会の皆さんによる迫力ある朗読に、会場は静まり返り、多くの参加者が物語の世界に引き込まれるように聞き入っていました。

講演では地すべりが棚田や里山の景観を生み出した背景について学び、朗読では地すべりと向き合ってきた人々の歴史や思いに触れました。
学術的な解説と伝承の朗読が重なり合うことで、地すべりの持つ「災害」と「恵み」の両面を実感することができました。