Archive for the '②里山だより' Category

【自然を科学的に探究】高校生のフィールドワーク

木曜日, 6月 12th, 2025

6/11(水)長野県飯山高校探究科1年生の皆さんが「科学的な調査研究の方法」を学ぶことを目的として、里山を舞台としたフィールドワーク(野外調査)でキョロロを訪れました。
飯山高校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、特に探究科は科学的思考や国際性を育むことを重視した学科です。
キョロロでの活動は9年目になりました。小雨がぱらつく中、3つのグループ(野鳥班、ブナ林班、土壌動物班)計5班分かれて、キョロロの学芸スタッフや地域の自然観察インストラクターのサポートのもと、キョロロ周辺の里山で野外調査を行いました。


野鳥班はキョロロの森の園路を一定の時間をかけて歩きながら、環境毎に確認された野鳥の種類や個体数を記録し、その生息密度を推定しました。
ブナ林班は、観光利用されているブナ林「美人林」の中で、人が多く訪れる地点とほとんど訪れない地点の間で、林床に生育する植物の種類や土壌の硬さ、落ち葉の粉砕の程度などを比較し、美人林のオーバーユースの影響を考えました。

土壌動物班は同じく人の出入りの頻度が異なる美人林の2地点において、一定時間土壌中に生息する小さな生き物たちを吸虫管などで採集しました。
採集した土壌動物を室内に持ち帰り、ルーペなどを使ってその種類や個体数を調べ、地点間で比較しました。

午後は、午前中の野外調査で得られたデータから明らかとなったことを班ごとにデータの整理とまとめ作業を行いました。
平均値や分散の算出や、データのグラフ化などを行い、科学的にデータをまとめる手法について学びました。


今回の体験が、自然を科学的に捉え、考えることの大切さや面白さを理解するきっかけとなれば嬉しく思います。

【開催報告】定例探鳥会(5月)・第69回松之山探鳥会、【ご案内】6月のこども探鳥会

木曜日, 6月 12th, 2025

5月の定例探鳥会の報告

日時:令和7年5月24日(土)天気:曇り、開始時の気温13℃、4:30-7:30

ウグイスやキビタキの声が響き渡る朝、28人の参加者があり賑やかな定例探鳥会となりました。
残雪が所々にありましたが、アカショウビン、サシバ、クロツグミなどの声が響き、里山に飛来した夏鳥たちを観察できた探鳥会でありました。

確認した野鳥(36種)
オシドリ、カルガモ、キジバト、アオサギ、ホトトギス、ツツドリ、ハイタカ、サシバ、アカショウビン、コゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、サンショウクイ、モズ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ヤブサメ、エナガ、キバシリ、カワガラス、トラツグミ、クロツグミ、キビタキ、ニュウナイスズメ、スズメ、キセキレイ、カワラヒワ、イカル、ホオジロ、ノジコ


▲大勢の参加者で賑わう定例探鳥会の様子


▲シジュウカラの羽ばたき


第69回松之山探鳥会の報告

令和7年6月1日(日)天気:雨、開始時の気温12℃、4:30-7:30

参加者総数は43名で、雨のために滑りやすい高畑コースを須山コースと一緒にして実施しました。越道川コースはそのまま実施しました。
開会にあたり主任講師としてお出でいただいた新潟県野鳥愛護会の渡辺央さんからは、松之山の野鳥の多さをこれまでの経験を踏まえて紹介していただきました。
雨が降り続く中、ブナ林からはキビタキの声が響いたり、時折ホトトギスのけたたましい声が聞こえてきたりしました。
アオバトの鳴き声やアマツバメが上空を飛ぶ姿を見ることができました。
アカショウビンの声が少し遠くからもの悲しく聞こえたり、サンショウクイの賑やかな声が上空から聞こえたりしました。
雨のために出現種数はやや少なかったですが、松之山の野の鳥を楽しむことができた探鳥会となりました。

確認した野鳥(37種)
オシドリ、カルガモ、キジバト、アオバト、アオサギ、ホトトギス、ツツドリ、アマツバメ、サシバ、アカショウビン、カワセミ、コゲラ、アカゲラ、アオゲラ、サンショウクイ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、カワガラス、クロツグミ、オオルリ、キビタキ、ニュウナイスズメ、スズメ、キセキレイ、カワラヒワ、イカル、ホオジロ、ノジコ


▲第69回松之山探鳥会の閉会式


▲雨の中のヤマガラ


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月のこども探鳥会のご案内
第3回「こども探鳥会」をまつのやま学園周辺を会場に開催します。主に地域の小中学生が対象ですが、他地域からでも参加できます。小学3年生以下は保護者同伴でご参加ください。

【日 時】令和7年6月14日(土)午前8時から9時30分まで
【集 合】まつのやま学園駐車場(雨天の場合は、まつのやま学園のピロティ)
【その他】探鳥会後、鳥合わせをして解散します。

最近撮影された野鳥



▲ノジコ


▲アオゲラ


▲アオサギ


▲オシドリ


▲カワウ

【開催報告】森のめぐみふれあい木育体験2025

水曜日, 6月 4th, 2025

5月31日(土)に妻有木育推進協議会主催の「森のめぐみふれあい木育体験2025」がキョロロを会場に開催されました。
スギの特殊伐採の見学
、森林整備体験と伐採木を使った昆虫ハウス(エコスタック)作り、木のおもちゃ体験、スウェーデントーチで焚き火&焼きジャガなど、森のめぐみを五感で感じ学ぶことができる盛りだくさんな木育体験が行われました!
今年は津南中等教育学校の皆さんからもスタッフとしてサポートいただきました。

▲森のめぐみふれあい木育体験2025 映像制作:妻有木育推進協議会

まず最初にスギの伐採見学です。
木材として私たちが木を使うことができるのは、山で木を育て・伐る「林業」というお仕事があるのおかげです。
今回は「木こり屋八十八」の太島さんから、通常の伐採が困難な場所で行う「特殊伐採」という樹木の上部から切り下ろす伐採方法をご披露していただきました。


木を伐るのは地面ではなくなんと地上20mほどの木の上。
華麗なロープさばきで、あっという間に木のてっぺん近くに!子どもたちからは「カッコいい!」の声。
伐った枝をロープでスルスル~と下ろします。
林業の山でのお仕事は、なかなか普段見ることができませんが、プロの皆さんの技が光ります!

ズドーンという大きな音と共に倒れるスギの木。伐採は木の「命」が木材として使われていく最初の作業です。
切ったばかりのスギの木は瑞々しく木の香りもフワ~と漂います。この木は何歳だったかな?

伐ったスギの木は来年用のスウェーデントーチを作っていただき、輪切りは鍋敷き用に自由にお持ち帰りいただきました。

引き続き、森林整備体験で森の生き物のための森づくりを行いました。
林内の低木を伐採し森を明るくし、伐採木を積み上げて昆虫の産卵場所や隠れ家となる「昆虫ハウス(エコスタック)」をみんなで作りました。


ノコギリを使って自分の手で木を切り進めると、林内がどんどんすっきりとし、明るくなっていきます。
森が明るくなると土の中で眠っていた種子(埋土種子)の発芽が促進され、森の再生も促されます。
この木育体験で何年も整備を続けてきたこの場所の林床は、スミレやチゴユリなど明るい環境を好む植物がが咲いており、また過去伐採した株からは萌芽も見られ、森が再生してきている様子も観察できました。

今年もキハダ・ウワミズザクラ・ミズキなど秋に鳥のエサとなる実をつける樹木はあえて残しました。秋には鳥たちが食事に訪れてくれるでしょうか?




このような低木伐採は燃料の確保のために行われてきた伝統的な里山管理でしたが、燃料として森林資源をほとんど使わなくなった現在、里山には管理が停止した低木の群落が数多く見られます。

多様な状態の森があることで、様々な生き物も利用しやすい森づくりも目指します。
明るくなった林内に整備の効果を肌で感じながら、森への人の関わりについて体験しました。

私たちは暮らしに使うエネルギーのほとんどを化石燃料に依存していますが、木は燃料として使われてきた持続可能な資源でもあります。
昨年のイベントで作って乾燥させたスウェーデントーチで焚火の体験も!
スウェーデントーチは近年キャンプなどでのアウトドアアイテムとして人気のある丸太型の焚火です。

スギの葉っぱ着火し、もろもろと火が大きくなり、スウェーデントーチに火が移っていきます。
ジャガイモもうまく焼けました。
木の命が燃料に変わり、熱やけむりが発生し、おイモを美味しくしてくれる。そんな過程も五感で感じることができました。

管理棟では「森のおくりもの」さんによる木のおもちゃ体験が行われました。
地域の木で作られた木のおもちゃの数々です。
積み上げたり、崩したり。音を奏でたり、おままごとをしたりと、子どもたちの多様なあそびが繰り広げられました。

木の手触りやぬくもりを感じながら、木のおもちゃで遊ぶ楽しそうな子どものたちの声が響いていました。みなさん夢中です!

里山の中で森の様々なめぐみを体験を通じて感じることができた「森のめぐみふれあい木育体験」。
森のめぐみにふれる素敵な時間を過ごすことができました!