Archive for 9月, 2023

【友の会主催】池の生き物大調査(秋)【こしじ水と緑の会助成】

月曜日, 9月 25th, 2023

昨日、キョロロ友の会主催のイベント「池の生き物大調査」を実施しました。今年5月に実施した池の生き物大調査の秋バージョンです。条件付特定外来生物であるアメリカザリガニが侵入してしまった池で、どんな生き物が生息しているのかを調べます。場所は5月と同じくキョロロの森のため池です。今回は春よりも水草の種類が増えていたので、特に植物に力を入れて実施しました。

午前中は池の中で水生生物を採集しました。少し涼しくなってきたとはいえ、胴長靴を履いて動くと汗ばみます。講師の先生に教わりながら水草を採ったり、網で水生昆虫や魚を探しました。



▲調査の様子

午後は標本作成です。植物はさく葉標本にします。「形を整えて新聞紙にはさむ」と聞くと簡単に思えますが、実に様々なテクニックがあります。水草のエキスパートに教わりながら標本の作り方を学べるというのは、とても贅沢な時間です。先生方に教わりながら、みんなで100年残る標本を目指してつくりました。



▲植物標本を作成している様子

動物は液浸標本にします。魚とカエルは種を記録してから元の池に戻しましたが、昆虫や貝類などの無脊椎動物は70%エタノールで固定し、バイアル瓶に保存しました。バイアル瓶には70%エタノールを充填し、ラベルも一緒に保存します。ラベルには「いつどこで採られたか」が書かれており、標本とセットで保存されることが重要です。



▲液浸標本を作成している様子

今回の調査では、ミズオオバコやサンショウモ、キタノメダカやゲンゴロウなど、絶滅危惧の動植物が多数記録されました。生物多様性が豊かなため池であることが分かります。それだけに、条件付特定外来生物であるアメリカザリガニが侵入し、これらの生き物たちの生育・生息が脅かされているというのは、非常に悲しい現実と言わざるを得ません。


▲ミズオオバコとサンショウモ

そのときの生物多様性を記録することは、とても大切な行為です。もしかすると、今回確認された生き物のなかには、来年にはいなくなってしまうものがいるかもしれません。もともと何がいて、いつ何がいなくなったのか。それを知るために、調べて、記録して、標本を残すことが、地域の生物多様性を保全する最初の一歩になるでしょう。


▲今年5月につくったさく葉標本

9月こども探鳥会報告と定例探鳥会のご案内

水曜日, 9月 20th, 2023

9月のこども探鳥会の報告

令和5年9月9日(土)午前8時から9時30分 天気:晴れ 気温:20℃

大人11人、小学生8人

ツクツクボウシやミンミンゼミなどセミの声がうるさい中、野鳥の声はなかなか聞こえませんでした。

ハシブトガラスとハシボソガラスの声を中心にキジバト、ヒヨドリ、ホオジロの声を確認できました。

ハクセキレイの幼鳥が2羽近くを飛んでいました。

夏鳥はツバメとニュウナイスズメだけ確認できました。いよいよ渡りの季節になります。夏鳥が南の国に移動し、北から南に移動する鳥や冬鳥が渡ってくる季節になります。

野鳥が少ない中、ツノハシバミの実を味わったり、ヒメグルミやオニグルミの実を割って食べたりしました。

野鳥の声が極端に少ない探鳥会でした。

確認種 16種

キジバト、トビ、アカゲラ、アオゲラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュカラ、ツバメ、ヒヨドリ、メジロ、ニュウナイスズメ、スズメ、ハクセキレイ、カワラヒワ、ホオジロ

 当日撮影された野鳥

トビ 村山撮影

ハシブトガラス 加藤撮影

ニュウナイスズメ 村山撮影

ハクセキレイの幼鳥 顔が黄色いタイプ 村山撮影

観察する参加者 村山撮影 髙橋撮影

キツツキが飛び出した鳥のアパート 村山撮影

観察をする参加者 髙橋撮影

まつのやま学園の秋の風情 村山撮影

その他の様子

前回より大きくなっていたヒメホソアシナガバチの巣 村山撮影

ダイミョウせせりが参加者の周りを飛び交っていました 村山撮影

イシミカワも色づいてきました 村山撮影

 

9月の定例探鳥会のご案内

松之山野鳥愛護会と「森の学校」キョロロの市民協働調査でもある9月の定例探鳥会をご案内します。

【日 時】令和5年9月23日(土)午前5時30分〜8時30分

【集合地】「森の学校」キョロロ駐車場

【日 程】午前5時30分 探鳥会開始

探鳥会に続いて、鳥合わせ・情報交換

午前8時30分 終了予定

【申し込み】「森の学校」キョロロ

 

2023年9月のハナアブしらべの活動報告

日曜日, 9月 17th, 2023

 2023年9月のハナアブしらべは16日にキョロロの森で実施しました。後半雨の予想もありましたが、晴れ時々曇りでよいコンディションでの採集となりました。

 これまでの調査地を事前に下見してきましたが、今年の異常な暑さや少雨の影響のためか、大松山や天水山ではこの時期にしては花の数・ハナアブなどの訪花昆虫の数が異常に少ない状況でした。このようにこれらの場所ではハナアブの採集が困難であると思われたので、採集地はキョロロの森となりました。キョロロの森でも同様に、ハナアブの確認種数がかなり少なくなると予想されましたが、予想以上に多くの種数を採集することができました。

 今回は11種のハナアブが採集され、そのうち1種はクロモンコハナアブという松之山未記録の種でした。クロモンコハナアブはハナアブ科の中でも種数の少ないコヒラタハナアブ亜科の一種で、幼虫はヒラタアブ亜科同様にアブラムシを食べることが知られています。

①ヨツモンハラボソハナアブ

コハナダカチビハナアブ

③ナミヒラアシヒラタアブ

④ナガツヤヒラタアブ

⑤キアシマメヒラタアブ

⑥シマアシブトハナアブ

⑦クロモンコハナアブ(松之山未記録)

⑧ホソヒラタアブ

⑨スルスミシマハナアブ

⑩スズキナガハナアブ

⑪ヨコジマオオヒラタアブ  

 初めは小坪野沢と休耕田沿いの遊歩道を歩き、湿った環境を好むミゾソバ、ツリフネソウ、シラネセンキュウなどが点々と生えるところでハナアブを比較的多く採集できました。その後はより乾いた遊歩道に移り、管理棟前の平地に生えるタラノキの花に大型のハナアブが数匹来ていました。スズキナガハナアブという種で、ハチのような派手な見た目をしているため、その種がキョロロのオリジナル生き物カードに採用されたこともあります。自分でこの種を採れなかった子が、その花にそのハナアブが再来するのをじっと見上げて待ち続ける姿からは研究者の風格を感じられ、とても印象的でした。

 これまではこの時期にマガイヒラタアブやサッポロヒゲナガハナアブなどのハナアブが9月中旬に多く見られていました。しかし、今回はこれらのハナアブが全く見れず、異常な猛暑や少雨がこれらの生態に大きく影響を与えているのかもしれません。年によって異なる発生パターンが見られてやはり自然は奥深いですね。

 最後に、全体の標本写真の右下にあるハナアブ科ではないハエについて紹介します。こちらはハナアブ科同様によく花やその近くの葉の上などで見られるメバエ科の仲間で、他の昆虫に寄生することが知られています。今回私がキョロロで初めて見た種で、何とも言えない威圧感のようなものを感じました。この種はメバエ属Conops (Asiconops)の一種で、ハナアブ科とは異なり、棒状の口が伸びているのが特徴です。参加者の子どもが花の上にとまっているこのハエを採集してくれました。すぐに種を確定できるものではなかったのでもう少し文献などで調べてみたいと思います。

 今回は6名の方にご参加いただきました。調査のご協力、誠にありがとうございました。次回のハナアブしらべは10月21日に実施します。またのご参加をお待ちしています。