昨日、キョロロ主催の学会「第18回里山学会」を松之山休養村センターで開催しました。
今回のテーマは「雪里から持続可能な社会づくりについて考えよう」です。
はじめはゲスト講演者3人による発表です。
1人目は新潟県立歴史博物館の大楽和正さんで、魚沼市干溝地区での農村生活について民俗学の視点からお話しいただきました。
春に山から切り出したボイを束ねて、雪面を転がして運搬した話や、割山制度の話は、昔の人々が協力し合い、上手に山の資源を利用していたこと教えてくれました。現在の人々がどうやって里山っと付き合っていけばよいか、考えさせられる講演でした。
2人目は、新潟大学農学部の本間航介さんで、佐渡でのトキの野生復帰に向けた取り組みから、里山の自然再生事業の現場での話を講演いただきました。
ブッシュと化した放棄水田が再生されていく様子は感動的でした。また、地域の里山を再生していくには、まずは地元に人材が必要であるという観点から、現在新潟大学が行っている人材育成事業についてもお話しいただきました。
3人目は、元キョロロ学芸員で、現在、大分大学教育福祉科学部の永野昌博さんで、キョロロがこれまで行ってきた活動を通して、これから雪里が活性化していくための具体例をお話しいただきました。地域の雪里の達人の方々、キョロロ、温泉街の3者が連携して行っている「里山めぐみ案内人の会」などは、これからまだまだ発展していくことのできる事業ではないかと感じました。
講演後のパネルディスカッションでは、浦田地区協議会長の丸山定一さん(雛段右より2人目)にも加わっていただき、参加者と共に「雪里から考える持続可能な社会づくり」というテーマで話し合いました。
参加者の方から、「植樹活動ではブナの木を植えることがとても多いが、実際にはブナの林はそれほど生物が多様でない。他にもっと地域にとって役立つ樹木を植えるべきではないか?」という、これまでしっかり考えてこなかったことに気付かされる意見も出ました。我々は、観光や学校教育の観点から、シンボル的存在であるブナを植樹してしまいがちですが、これからの雪里の森を維持していくには、未来を見据えた植樹活動も必要ではないかと感じました。
持続可能な社会づくりを実現するには、まだまだ課題はたくさんありますが、一つ一つ地道に活動を行っていくことが重要なんだと再認識させられる学会となりました。
これからも、このような会を通して、キョロロは地域の豊かな未来を、地域の方々と共に考え、切り拓いていきたいと思っています。来年ももちろん開催しますのでお楽しみに!
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撮影日:2012年11月23日