Archive for 12月, 2023

【プレスリリース】キョロロの名前がついた昆虫が新種記載されました

月曜日, 12月 18th, 2023

「森の学校」キョロロ周辺で確認されたヒメガガンボ科の昆虫が、その採集地にちなんで Dactylolabis kyororo という学名で新種記載されました。キョロロが十日町市産標本をもとに新種記載した昆虫として6種目となります。

1.論文概要
・出版雑誌:Zootaxa(動物分類学に関するニュージーランドの国際学術雑誌)
・出版日時:2023年11月22日
・論文タイトル:Taxonomic study of the genus Dactylolabis Osten Sacken, 1860 of Japan (Diptera: Limoniidae).(日本産コケヒメガガンボ属の分類学的研究(ハエ目:ヒメガガンボ科))
<論文URL https://www.biotaxa.org/Zootaxa/article/view/zootaxa.5375.2.4 >
・著者:Daichi Kato(十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ 加藤大智研究員)
・概要:日本産コケヒメガガンボ属の種はこれまで2種が知られていたが、日本全国で採集した標本や、アメリカのスミソニアン博物館に保存される標本などを調査した結果、新種1種を含む3種にまとめられた。新種となった1種は全国の調査のなかで、キョロロにおいて初めて確認された種で、その採集地にちなみ、学名をDactylolabis kyororoとして新種記載された。

2.今回の新種の概要
今回新種となったDactylolabis kyororo (和名:キョロロコケヒメガガンボ)はハエ目ヒメガガンボ科の昆虫で、2021年にキョロロの森の沢付近で初めて1個体が採集された。その後、2022年に新発田市で1個体、2023年にキョロロ敷地内で1個体が追加採集されている。これまで全国的に調査しているなかで、本種が確認されているのがキョロロを含む2地点のみである点から、希少度の高い種の可能性がある。これまでのキョロロの一連の新種発見により、里山の生物多様性の理解の深化につながることを期待する。

Dactylolabis kyororoの形態や分布の特徴

Dactylolabis kyororoの採集地の一つ

Dactylolabis kyororoの生体

【小正月の伝統行事体験】若木迎え・どんど焼き・花餅かざり2024のご案内

金曜日, 12月 8th, 2023

\小正月の伝統行事体験イベント/

毎年恒例の小正月の伝統行事イベント「若木迎え・どんど焼き・花餅飾り」を来年1月7日(日)に開催いたします。新年の恵みを祈り、家内安全・無病息災を祈る、雪里松之山の小正月の伝統行事です。「若木迎え」は一度地域で途絶えた小正月の伝統行事ですが、キョロロでイベントとして開催し、住民と参加者との交流を通して継承しているイベントです。今では市史、町史などでしか垣間見ることができないこの伝統行事ですが、今年も皆様のご参加をお待ちしております。

【日時】2024年1月7日(日)10:00~12:30
【会場】若木迎え(キョロロの森)、どんど焼き(キョロロ駐車場)、花餅飾り(館内)
【参加費】500円、友の会会員:高校生以上200円、小中学生100円、未就学児無料。若木迎え・花餅飾りは別途入館料必要。どんど焼きの参加は無料・入館不要。
【定員】30名(若木迎え・花餅飾り)
【材料費】お持ち帰り用の花餅飾りの制作は300円。

▼2023年の様子
https://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=9807
▼2022年の様子
https://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=7597
▼2021年の様子はYoutubeの動画をご覧ください。

2023年12月ハナアブしらべの活動報告

月曜日, 12月 4th, 2023

2020年から続いているハナアブしらべは、今年度から初めての試みで冬季にも実施しています。松之山では既に2回ほど積雪があり、ハナアブ採集はこれからのシーズンでは極めて困難ですので、冬季は室内で顕微鏡を用いたハナアブの同定方法について学びます。今回の12月3日の回はその初回でしたので、ハナアブしらべなどの市民参加型調査のベースになっている分類学や学名の重要性について簡単に楽しく紹介しました。その後はハエ目からハナアブ科までのそれぞれの分類群レベルでの特徴を紹介し、最後にハナアブ科からその4亜科への分類方法について説明しました。

ここから作業開始で、松之山で採集されたハナアブ科10種(+比較用にハナアブ科ではないハエ目1種)の標本を渡し、顕微鏡を用いて形態の細部の観察と亜科への分類に挑戦していただきました。一般的に小学生にはレベルの高すぎる内容ですので、苦戦している様子も多く見られましたが、確認すべきポイントを見せて一つ一つ説明すれば理解してくれるようでした。あとは、いかに様々な標本を見続けて見慣れるか、という点が重要かと思います。

このような顕微鏡を用いた分類は、ハナアブに限らず、ほとんどの昆虫で使える基本的な技術です。ハナアブでなくても、昆虫の種を調べる技術を学びたいという方も大歓迎です。次回は年明け後の1月14日(日)の10:00~12:00に実施いたします。この頃には松之山はすっかり雪景色になっていると思いますが、皆様のご参加をお待ちしております。 今回ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。