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9月ハナアブしらべの結果報告

日曜日, 9月 12th, 2021

9月11日のハナアブしらべは天候に恵まれ、多くのハナアブを発見することができました。午前中は雨が降っていた時間帯もあったため、前々回・前回のような雨が記憶によみがえるようでしたが、無事に調査を終えることができました。今回は8名の参加者にハナアブを採集していただきました。誠にありがとうございました!

今回の結果は10種27個体が採集されました。なんとそのうち3種は今回初確認で、十日町市または新潟県レベルで未記録の種でした。今回採集された種は以下の通りです。

①キアシマメヒラタアブ 3♂(十日町市未記録)

②マガイヒラタアブ 4♀(今年初・十日町市未記録)

③サッポロヒゲナガハナアブ 2♀(今年初・十日町市未記録)

④ホソヒラタアブ 6♂5♀(松之山未記録)

⑤カクモンハラブトハナアブ 1♂(初確認・十日町市未記録)

⑥ホソヒメヒラタアブ 1♀(松之山未記録)

⑦マダラコシボソハナアブ 1♀(十日町市未記録)

⑧オオクニクロハナアブ 1♀(初確認・新潟県未記録)

⑨ナミルリイロハラナガハナアブ 1♂1♀(松之山未記録)

⑩ナガツヤヒラタアブ 1♀(初確認・新潟県未記録)

青字は今年のハナアブしらべで初確認の種で、それぞれ十日町市未記録の②マガイヒラタアブと③サッポロヒゲナガハナアブでした。後者は和名に「ヒゲナガ」とあるように触角が長く、虫好きの方でも容易にハチと見間違うであろう擬態っぷりです。M君のお父さんが2個体も採ってくれました。次に赤字の初確認の種です。⑤カクモンハラブトハナアブはM君が採って網越しで見せてくれましたが、その時は過去に何度も採集されたシマアシブトハナアブと思って見過ごしていました。後でよく見たら全くの新顔で驚かされました。その場で「いいやつとれたね」と褒められなくてくやしいものです。⑧オオクニクロハナアブはO君が採ってくれました。この時期に小型のクロハナアブは妙だと期待していたところ、これも初確認で県内未記録の種でした。メスはこのグループでは独特な丸っこい腹部をしています。⑩ナガツヤヒラタアブはK君のお父さんが採ってくれた種で、これも初確認で県内未記録の種でした。近縁種と比べると腹部の模様が細いのが特徴です。

 

今回はハナアブの多様性が夏と比べて明らかに増えていました。発見したけど逃げられた、という種もいくつかあり、見つけたものを全て採れていれば15種くらいに増えていたのではないかと思います。次回のハナアブ調べは10月9日(土)で、ハナアブがよく集まるセイタカアワダチソウが咲いてくれていることを期待しています。皆様のご参加をお待ちしております。

 

おまけ

ハナアブしらべの最中にキョロロでは確認していなかったマダラガガンボ近縁種がいたので採集したのですが、K君はそれとは別種のマダラガガンボをプレゼントしてくれました。このよく似た2種がそろったので比較しながら紹介したいと思います。ぱっと見はよく似ていますが、近縁種の方がややほっそりしている印象があります。

雄の交尾器を比較すると違いは歴然で、近縁種の方では矢印の部分に突起がありません。

また、これまで標本をいくらか見比べたところ、微妙な違いですが、矢印で示した翅の黒い斑紋の長さでも見分けられそうです。こういった違いを確認した後ならこの2種がぱっと見で違って見えてくるかもしれません!

実は近縁種の方は他の研究者により2012年の研究発表で存在は明らかにされていました。しかし、その後進展はなく学名は不明のままの種なのです。近い将来解決されることを願います。