2023年10月ハナアブしらべの活動報告
2023年 10月 22日at 10:58 AM kyororo @④キョロロ雑記
今年度は天気に恵まれ、これまで調査が中止になることはありませんでしたが、今回は終始雨で調査を断念しました。この時期は気温が低く、晴れでなければ昆虫の活性がかなり低くなるため、雨の中でのハナアブの採集は非常に困難でした。その代わり室内で、参加者の皆さまがハナアブを分類して標本を仕分ける機会としました。
今回使用した標本は、今年度松之山で、主にハナアブしらべにより採集されたハナアブ科の標本152点です。これらは採集日ごとに並んでおり、種ごとにはまとまっていませんでした(青点線枠の位置にありました)。この標本のうち、まずは肉眼で見て、姿が似ていて同じ種と思われるもの同士を近くにおいていくという作業を、参加者同士で話し合いながら挑戦していただきました。参加者によって視点が違うため、「これとこれは似ているけど腹部の模様が違う」などそれぞれが気付いた違いを教え合って仕分けていました。最終的に仕分けられたものはおよそ7割程度は種ごとにまとまっていました。その後肉眼では見分けるのが難しいものを顕微鏡を通して観察していただきました。中には見た目がよく似ていても、属レベル(種よりも一つ大きいグループ)で違う種が混じることもありましたが、そんなに細かいところが見分けるポイントになるのかと、驚きや難しさを感じられていました。
私もハナアブを本格的に勉強し始めたのはハナアブしらべを始めてからでしたので、初めは分からない事だらけでした。不思議なことに、このような観察を続けていくと、わざわざ顕微鏡を使わなくとも、口では説明が難しい全体的な形や模様の雰囲気の違いでより多くの種が見分けられるようになります。外で採集する際、その場でその種が分かればわかるほど採集が楽しくなり、その精度も研ぎ澄まされていくと思います。このような細部を顕微鏡で観察して種を調べていくという作業は、ハナアブに限らず生物を正確に同定する上でほぼ共通の方法ですので、ぜひ学んでいただきたい技術の一つです。
次回のハナアブしらべは11月5日(日)13:30ー16:00に実施します。これまでは第3土曜日に実施していましたのでご注意ください。ここではまず今年度の成果についてのまとめを発表し、その後天気が良ければ採集に向かう予定です。
今回雨でしたがご参加いただいた皆さまに感謝申し上げます。皆さまのご参加をお待ちしております。