5月ハナアブしらべの報告

今年度最初のハナアブしらべは5月21日にキョロロの森で実施されました。キョロロ周辺としてはハナアブの多様性が最も高くなる時期でしたが、天候は生憎の小雨で採集しにくい環境でした。しかし、参加者6名に一生懸命採集していただき、合計13個体7種のハナアブが採集されました(イベント中では種数のカウントを誤っておりました・・・)。そのうち2種は過去2年間のハナアブしらべでは発見されなかったもので、もう1種は初めて確認された可能性の高い不明種でした。採取された7種は以下の通りです。

①ツヤヒラタアブ 4♀

②ホソヒラタアブ 2♀

③ミナミヒメヒラタアブ 1♂2♀

④ツヤヒラタアブ属の一種A 1♂

⑤ツヤヒラタアブ属の一種B 1♀

⑥ツマキモモブトハナアブ 1♂

⑦タカオハナアブ 1♀

⑥のツマキモブトハナアブは2010年6月に旧キョロロ研究員が採取した1個体を確認したのみで、それ以降は松之山で確認されていなかった種でした。⑦のタカオハナアブは雪の少なかった2020年4月に採取されたのみでした。この2種は個体数が少ない、あるいは発生時期の短い、採取難易度の高い種なのかもしれません。

④⑤はツヤヒラタアブ属の不明種で、このグループは分類が難しく、専門家ですら種の分け方に現段階で明確な答えを出せていないものです。しかし、メスで腹部が細長く、黄色い模様が全くない⑤のBは今回初めて確認された種の可能性が高いです。

今回は残雪の影響のためキョロロ周辺で調査を行いましたが、次回以降は標高がそれより500メートルほど高い大厳寺高原や天水山付近で行いたいと思います。標高が変わると生物相も変わっていきますので、松之山未発見のハナアブが発見できる可能性が高くなります。次回の6月18日(土)のハナアブしらべは、大厳寺高原キャンプ場駐車場13:30集合で、可能であればそこから天水山の方に向かって調査をしたいと考えています。キョロロ周辺では聞くことができないエゾハルゼミの鳴声の中での調査となるでしょう。

ハナアブしらべは参加者とともに松之山に生息するハナアブ科を定期的に調査して貴重な自然資料として標本を残し、分類研究が十分ではない日本のハナアブ研究に貢献することを目的としたイベントです。研究が遅れている分、新発見に溢れたイベントです。次回も皆様のご参加をお待ちしております。今回ご参加いただいた皆様誠にありがとうございました!

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