Archive for 2月 14th, 2010

第2回つまり市民里山学会の報告

日曜日, 2月 14th, 2010

昨日2月14日、十日町市千手中央コミュニティーセンターの千年の森ホールにおいて、「第2回つまり市民里山学会」を開催しました。
十日町市と津南町からなる「妻有(つまり)地域」には豊かな自然環境がひろがり、その自然環境を調査研究する多くの個人の方々や愛好家団体が存在します。
その皆さんが一堂に会し、調査研究活動の報告・成果発表を行う会が昨年からスタートし、今回第2回目を迎えました。


開会の挨拶は、十日町市長からいただきました。


トップバッターは、津南町立津南小学校の涌井美久里さん。
清流に生息し新潟県の絶滅危惧Ⅱ類にも指定されているバイカモという水生植物。ここ数年で、バイカモの生息地に外来種のコカナダモがどんどん増え、どうにかバイカモを救いたい!と始めた研究を発表してくれました。
川に沿って数キロを歩き作った分布マップや、バイカモの得意な環境を移植実験などから評価した結果は圧巻でした。
涌井さんはこの研究で、2009年のわくわくいきいき科学賞の新潟県知事賞を受賞しました。


続いて津南町立三箇小学校3・4年生のみなさん。
三箇小は来年度閉校をむかえますが、その前に学校の周辺に残る豊かな自然を花カレンダーとして調査し、特に最近増えている帰化植物について調べた結果を発表してくれました。
花カレンダーの結果から湧き出た疑問を、どうしたら解決できるかを皆で考え調査し、しっかりとその結果に対する考察をしていました。
三箇小のみなさんのこの研究は、2009年のわくわくいきいき科学賞の新潟県教育長賞を受賞しました。

この二つの発表を聞いて、つまり地域の小学生の自然に対する意識の高さを感じました。その背景には、きっとつまりの豊かな自然環境があるからなんでしょうね。


続いて松之山自然友の会・松之山薬草の会の鶴田豊子さん。
自宅の敷地内に生息する数多くの山野草や樹木の花暦調査について発表していただきました。
しかも”楽しみながら””続けられる方法で”をコンセプトに、ご自身のエピソードや調査のコツなどを交えたお話は、聞いていてとても楽しくなりました。


続いて松之山自然友の会、昨日は青森からはるばる来ていただいた山岸洋貴さん。
キョロロで2009年に行った花暦調査の結果について発表していただきました。春から秋にかけて移り行く植物の花の時期について、その傾向をじっくり見てわかってきた興味深い結果を多数報告してくれました。
さらに、このような結果を発信し、松之山の自然の魅力を伝える重要性にも言及されていました。


続いて松之山自然友の会の小口成一さん。
コシジシモツケソウの源標本産地と、新種と発表されるまでの背景について。加えて、渋海川の源流付近の自然環境について発表していただきました。
写真やスライドを多数使われ、普段よく見る自然の奥深さを感じることができました。


続いて津南町のなじょもん川遊びクラブの村山郁夫さん。
コモチカワツボというニュジーランド原産の貝が、津南の川に侵入している事例を報告していただきました。
どのように侵入したのか?どのような影響があるのか?について、地道な現地踏査を元に考察されていました。また、このような外来種の貝が中間山地地域へ拡散しないように、注意の必要性を指摘されていました。


続いて東京電力の荒川茂樹さん。
当間高原リゾートで行われている生物多様性の保全に関する数々の取り組みについて発表していただきました。
断片化した生息地をつなげる試みや、ビオトープを作った後の自然環境の変化について報告され、そこで新たに生じた様々な問題・課題についても紹介していただきました。


続いて松之山野鳥愛護会として発表されたキョロロの大脇研究員。
地域の方と協働でおこなったチョウの分布調査の結果について発表していただきました。
初記録のチョウや詳細な分布情報が得られたという反面、情報提供者の偏りや調査の空白地帯が生じたという問題について紹介していただきました。


最後は、十日町市博物館友の会植物研究グループ会長の樋熊清治先生。
この地域でみられる昆虫類の色・形・大きさの地理的な変異について、多数の標本をご持参され発表していただきました。
長い時間をかけた昆虫の移動や、分布の障壁になる川の存在などについて紹介され、そこから派生した生き物の興味深いお話を、じっくりと紹介していただきました。

今回は、多数の参加者にお集まりいただき、盛況のうちに終わることができました。
そして、つまり地域に生息する様々な生き物のバラエティーに富んだお話を聞くことができました。
これもつまり地域の生物多様性の高さと、それを調査研究するみなさんの意識の高さが背景にあるのではないでしょうか。

今後、名称に「市民」がつくこの会が、地域のみなさんの主導のもとで運営・開催されて行くことが、会の発展に不可欠だと思います。この会が知識を深め人々の交流の機会となり、知的好奇心をくすぐり続ける会であってほしいと思いました!

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十二講

日曜日, 2月 14th, 2010

ゴリゴリゴリゴリ。。。。。キョロロの地炉に響き渡る音。

本日、「十二講(じゅうにこう)」というイベントを開催しました。
十二講は山仕事の無事を山の神様にお祈りする伝統行事です。今ではなかなか行われなくなりましたが、キョロロではこのような文化を継承するために毎年行っています。

まずは、カラコというお団子作りから。すり鉢でお米をゴリゴリと、サラサラの粉になるまですっていきます。
地炉の囲炉裏の温かさもあり、半袖になりながらの参加者もいらっしゃいました。

すり具合は、粗すぎても細かすぎても美味しくないんだそうです。

そろそろ良いかな~?

すった粉に水を加えて、耳たぶくらいのかたさほどにこね、小さなお団子を作ります。
これを神様へのお供え用に、ワラで作ったワラスットコに入れます。12個入れましたが、この数は地域によって違うそうです。

カラコを入れたワラスットコと、ネマガリダケで作った弓矢を雪の上にお供えします。
山仕事が無事にできますようにと、皆で手を合わせました。

食べる分は、平たくつぶして茹でます。

茹で汁に浮かせたカラコ。醤油の実と一緒に食べます。
うるち米を使っているので、カラコの食感は餅と違ってサクッと噛みきれます。
醤油の実を汁に溶かしていただくのがスタンダードな食べ方のようです。

皆で楽しく十二講とカラコ作りができました。
先生、参加者のみなさんどうもありがとうございました。