Archive for 9月, 2022

9月のこども探鳥会の報告と定例探鳥会のご案内

水曜日, 9月 21st, 2022

「森の学校」キョロロと松之山野鳥愛護会が共催で実施している定例のこども探鳥会を、9月10日(土)午前8:00から9:30にかけて実施しました。
参加者は大人9人、小学生4人、計13名でした。
出現種は次の19種でした。

キジバト、サシバ、アオゲラ、サンショウクイ、モズ、カケス、ハシボソカラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、メジロ、コサメビタキ、ニュウナイスズメ、スズメ、セグロセキレイ、イカル、ホオジロ

当日はすっきりしない曇り空ではありましたが気温は23度と過ごしやすい陽気でした。
野原のススキが揺れている初秋の雰囲気の中、巳の下線方面に向けての探鳥会でした。

まつのやま学園近くの人家の屋根や電線にスズメやニュウナイスズメが群れを作り始めていました。秋の風景です。
まつのやま学園の校舎の棟(ぐし)にいつものようにハシブトガラスが止まっていました。ヒナが羽を広げて親鳥に餌をねだっている様子が見られました。
田んぼの畔に生えたタケニグサの先端にモズが一羽止まっていました。フライングキャッチのように飛び立っては餌を捕まえて元に戻っていました。モズのいる風情も秋を代表するけしきでした。
ヤマガラ、シジュウカラなどは群れを作り木々の間を餌探しに忙しそうに飛び回っていました。
サシバも上空を輪を描いていた。そろそろ渡りの季節でもあります。

こども探鳥会で見られた野鳥と探鳥会の様子

親に餌をねだるハシブトガラスのひな

枝の間を飛びまわるコサメビタキ

上空を舞うサシバ

モズ 村山(祐)撮影

アオゲラ 村山(祐)撮影

メジロ 加藤撮影

こども探鳥会の様子

次に9月の定例探鳥会をご案内します。

【日時】令和4年9月24日(土)午前5時30分〜8時30分
【集合】「森の学校」キョロロ駐車場
【探鳥コース】キョロロの森(バードピア須山)から光間を通り、松口地内約3㌔を探鳥します。
【その他】探鳥後、鳥合わせをして解散します。
【定員】20名 「森の学校」キョロロにお申し込みください。
【コロナ対策】新型コロナウイルスへの感染が全国でまだまん延しています。
基本的な感染防止対策の徹底にご協力をお願いします。

最近撮影された野鳥(村山(暁)撮影)

カルガモ

チュウダイサギ

クマタカ

ノスリ

羽繕いをするノスリ

羽繕いをするノスリ 手持ちの為に画像が揺れています。見苦しい所お許しください。

 

ノビタキと思われる旅鳥

【ひっつき虫はなぜひっつく?】-探求型自然体験「キョロロ生物部」⑥-

日曜日, 9月 18th, 2022

\ひっつき虫は、なぜひっつく?/
里山の自然や生物を探求するキョロロ生物部、第6回のテーマは「ひっつき虫を集めよう!」。
ひっつき「虫」と言っても植物のタネのことです。皆さんもやぶの近くを歩いた際に、知らないうちにシャツやズボンに植物のタネがくっついていた!という経験があるかと思います。今回はそんなひっつき虫について探求しました。

STEP1は「予想する」。今回は何のためにひっつくのか、どういった場所に多いかについて予想してみました。
STEP2は「観察する」。野外でひっつき虫を集めて、種類や数を調べ、顕微鏡をつかってカタチを観察しました。
STEP2は「考察する」。どんな環境にひっつき虫が多いのか、STEP2の観察を踏まえて考えました。


参加した皆さんはひっつき虫が体につきやすいように、タオルを身に着けました。


タオルをひらひらさせながら、里山のなかを歩いてきます。


そうやって歩くと、こんな風にひっつき虫がくっつきます!
ヌスビトハギやイノコズチのタネがくっついていますね。


タオルについたひっつき虫をはずして、種類ごとに分けて、数を数えます。


結果をまとめたり、考察したり、皆さん一生懸命に取り組んでくださいました。

STEP3のどんな環境にひっつき虫が多いのか?という問いに対して、色々なアイデアが出てきました。ほかの植物が多いところじゃないか、暗いところじゃないか、湿ったところじゃないか、などなど。
ひっつき虫といえば、普段の生活のなかで服にくっつくとジャマだな~としか思わなかったかもしれません。キョロロ生物部を通してたくさん考え「結構ひっつき虫って面白いなあ!」と思っていただけたなら嬉しいです。
これからもキョロロ生物部では生き物たちの「なぜ?」「なに?」について探求していきたいと思います。次回は10/16、「葉っぱハカセ入門」です。ご参加をお待ちしております。

\調べるって、楽しい!/
「キョロロ生物部」は里山の生き物をテーマに、予想→調べる→考察するという科学的な思考を毎回体験し、自分なりの考えでなぜ?に答えてみることに挑戦していきます。科学の考え方を楽しく学ぶ体験を通じて、子どもたちの「探究する力」の育成を目指すイベントです。結論はみんな違ってみんな良し◎です。今年度は4月からスタートし、「観察する」「数える」「比べる」などをテーマに、自分たちの手で里山の生き物を調べ、探求します。生き物が好き、調べることが好き、地域の自然をもっと知りたい子どもたちのご参加をお待ちしています。

9月ハナアブしらべの報告

日曜日, 9月 18th, 2022

 前回の8月のハナアブしらべは天候不順により中止となりましたが、定期的にご参加いただいた小学生の功績が認められ、キョロロで新聞記者2名の方に取材をしていただく場となりました。   

 そして今回は良い天気に恵まれました。去年9月は種数最多となったため、期待が高まります。7月には大量に飛んでいたオニヤンマはほぼ姿を消し、前回エゾハルゼミが鳴いていましたが、今回はチッチゼミが少し鳴いている程度でした。そして奇妙なことに、ミカドフキバッタのハエカビに侵された死骸が驚くほど見つかりました。この菌に感染したバッタは体を支配され、バッタの体内で作った胞子をより遠くに飛ばすため、バッタが死ぬ前に草の高いところまで登らせると言われています。下の写真は死後変色して緑色が茶色味を帯び、胞子が出きって腹部の先端が欠けています。

 そんな季節の移り変わりを感じさせる環境でしたが、ハナアブ採集もなかなかの成果となりました。去年同様に、今月は今年最多の種数となり、13種23個体が採集されました。そのうち2種は十日町市未記録の種でした。これで松之山で確認した種数は合計86種となります。

①アイノオビヒラタアブ1♀

②キョウコシマハナアブ3♂1♀

③アシブトハナアブ1♂

④シバカワオビヒラタアブ3♀(十日町市未記録)

⑤ホソヒラタアブ1♂2♀

⑥マガイヒラタアブ1♀

⑦タカネムツモンホソヒラタアブ2♂2♀

⑧シロスジベッコウハナアブ1♀

⑨オオハナアブ1♂

⑩キアシマメヒラタアブ1♂

⑪キスネクロハナアブ1♂

⑫オビホソヒラタアブ1♀

⑬ホソオビヒラタアブ1♂(十日町市未記録)

 今回得られた十日町市未記録種はKR君とHT君が採集した④シバカワオビヒラタアブでした。似た種と区別するには頭部の毛や翅の微毛の状態などを顕微鏡で確認する必要があります。もう一種は研究員が採集したホソオビヒラタアブでした。こちらも似た種がいますが、同じように顕微鏡で複眼や翅の微毛などを見なければなりません。OM君が採集した⑫オビホソヒラタアブは、ハナアブしらべでは初めて採れた種です。⑧シロスジベッコウハナアブはあの新種の可能性の高いハナアブによく似ていますが、なかなかそちらの方は姿を現してくれません。また、研究員が採集した⑦タカネムツモンホソヒラタアブは模様に異常がありました。模様は通常左右対称ですが、この個体では黄色い模様が右側にしかない部分があります。このような斑紋異常は初めて見ました。

 続いて、ハナアブではありませんが、大きな発見がありました。KR君が採集したメバエ科のハエ、ジョウザンメバエは新潟県未記録の種であるようです。メバエ科の仲間は特殊な生態を持ち、花に来るハチの体内に卵を産み付ける寄生バエであることが知られています。そのため花の上で見られることが多いグループです。しかし、この種の国内での寄生相手はまだわかっていないようです。

 次回は10月15日(土)13:30から大厳寺高原で行います。今回よりも昆虫が全般的に減っているとは思いますが、そのような環境でどのようなハナアブが見られるか気になるところです。次回も皆様のご参加お待ちしております。今回は5名の方に、時には取り合いが起こるほど一生懸命採集していただきました。ありがとうございました!