2022年10月のハナアブしらべの活動報告

 今年10月のハナアブしらべは6人の参加者と一緒に大厳寺高原で行われました。開始してからしばらくは快晴で、特にキャンプ場周辺の花に多くのハナアブやその他の昆虫が集まっていたので、その場でしばらく採集をすることに。それから普段の採集ポイントである標高900m付近の場所の様子を見に行きましたが、そこでは花の時期がほぼ終わっておりハナアブがほとんど見られませんでした。それからすぐに元の場所に戻って調査をしましたが、天気が曇り始めて肌寒くなり、見られるハナアブの数が激減してしまいました。

 大部分は晴れていたものの気温の低さを感じさせる回でしたが、成果はなかなかのものでした。38個体11種のハナアブ(①-⑪)が採集され、そのうちの1種、ヘリヒラタアブは今回初確認の種で、十日町市未記録の種でした。また、ハナアブに雰囲気が似ているその他のハエ目(A-D)も多数見られました。今回採集されたハナアブは以下の通りです。

①ホソヒラタアブ 9♂7♀

②オオヒメヒラタアブ 1♂2♀

③ケヒラタアブ 7♀

④オオフタホシヒラタアブ 1♀

⑤シマハナアブ 1♀

⑥タカネムツモンホソヒラタアブ 1♂2♀

⑦ホソヒメヒラタアブ 1♂

⑧ヘリヒラタアブ 1♂(十日町市未記録)

⑨オオハナアブ 1♀

⑩キスネクロハナアブ 3♂1♀

⑪スルスミシマハナアブ 1♀

 今回多く観察できたのはホソヒラタアブとケヒラタアブでした。KR君が採集した十日町市未記録のヘリヒラタアブはやや大型で腹部の丸みと平さが強く、よく似たマルヒラタアブとは顔に黒い筋があることで見分けることができます。MSi君が採集したオオフタホシヒラタアブはぱっと見はケヒラタアブにそっくりですが、腹部の基部にある1対の黄色い模様の形が円形で、メスの脚は基部の方まで黄色です。ケヒラタアブが多く飛んでいる中、稀にこの種が紛れていたようです。過去にもキョロロの森で仕掛けたマレーズトラップで1個体が採れたのみでした。

 その他のハエ目でよく飛んでいたのが、MSuさんが採集してくれたCのシナヒラタヤドリバエ(シナヒラタハナバエ)とDのツマグロキンバエでした。Cは幼虫がカメムシ類に寄生します。そして前回新潟県未記録と分かったAのジョウザンメバエを今回もKR君が1個体採集してくれました。これらの3種はすべて花に来るハエ目ですが、Bのアイノヒゲボソムシヒキは秋の涼しい時期のみ見られるハエ目で、日の当たる木の幹などでエサとなる小さな昆虫が飛んでくるのを待っています。

 そして、ハナアブしらべによく参加してくれるHT君が、このイベント以外でキョロロ周辺で10月に採集してくれた小さなハナアブが、なんと県内未記録のジョウザンマメヒラタアブという種であることがわかりました。ハナアブしらべでもよく採れるキアシマメヒラタアブとそっくりですが、やや大きくて細く、腹部の中央当たりに小さな明るい1対の点があります。念のためこれまで採集したキアシマメヒラタアブの中に紛れていないか、約100個体の標本をチェックしましたが、やはり1匹もいませんでした。松之山では非常に珍しい種である可能性があります。

 今回は天気に恵まれ、10月中旬の標高高めの涼しい場所での調査でしたが、(時にはアケビ採集に夢中になりながら)素晴らしい成果となりました。次回のハナアブしらべは今年最後となり、11月19日(土)の13:30-16:00で、キョロロ周辺で行う予定です。晴れていればハナアブが活動するギリギリの時期で、曇りではほとんど採集できないと考えられます。そのため次回は採集は短く終わらせ、その後は館内でこれまでの成果のまとめをパワポで発表したいと思います。今回もご参加いただいた皆様、ありがとうございました。またのご参加をお待ちしております。

 

 

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