Archive for 6月, 2023

【第3回】舘野鴻さんトークショー&観察会を開催します【7/1】

木曜日, 6月 29th, 2023

企画展特別企画となる第3回の舘野鴻さんトークショー&観察会を7/1(土)に開催します!
・第1回はの5/7(土)
に開催しました。様子はコチラをご覧ください
・第2回目は6/3(土)に開催しました。様子はコチラごご覧ください
第3回(7/1)のスペシャルゲストは福島大学准教授の兼子伸吾先生です。保全生態学・分子生態学がご専門で、植物・昆虫・哺乳類・菌類と研究対象は多岐にわたります。兼子先生はキョロロの大平研究員の師匠です。第3回はトークショーと観察会の時間が逆になり、午前に観察会、午後にトークショーとなります。第3回もお楽しみに!

小坪野沢の底生動物

木曜日, 6月 29th, 2023

キョロロのなかを流れる小さな沢「小坪野沢」に生息する底生動物を紹介します。昨年と今年に実施した市民協働調査の川虫しらべで確認された生き物です。見つかったばかりのケスジドロムシも追加しています。山間の小さな沢で生き物を観察する際には、小坪野沢と同じ種類が出てくることがあると思います。参考にしていただければ幸いです。

また、キョロロHPにて、研究報告も公開されました。小坪野沢の底生動物相についても報告しています。研究報告はコチラからご覧になれます。

新たに2種確認!「ガガンボしらべ(6月)」活動報告

月曜日, 6月 26th, 2023

 今年度から新しい市民参加型生き物調査「ガガンボしらべ」がスタートします。キョロロ周辺に生息するガガンボを調査する「ガガンボしらべ」、博物館のイベントとしては、ガガンボに関係するものは世界でも他にないのではないでしょうか。

 ここでいうガガンボとは、厳密にはハエ目ガガンボ上科に含まれる種を対象にしていて、この中にオビヒメガガンボ科、ヒメガガンボ科、シリブトガガンボ科、ガガンボ科の4科が含まれています。ガガンボ上科は種数が多く、日本だけでも800種弱、世界で16000種ほどが学名を与えられています。キョロロを含む松之山におけるガガンボは、既に捕虫網やマレーズトラップの2~3年の調査により、220種が確認されていますが、さらなる未発見種に出会えるかどうか。

 初回は6月25日(日)に開催しました。まず初めに、ガガンボとは何かという簡単な講義をしました。ここでいうガガンボとは、ハエ目の仲間であること、水のある環境に多いこと、ガガンボ上科以外にもさまざまな「ガガンボ」が名前にある別のグループがあることなどを紹介しました。

 その後は採集に出かけました。今回は天気が良く暑い日でした。キョロロのある標高300 m程度の環境だと、種数・個体数はあまり多くない時期です。それでも参加者9名の方々には一生懸命採集していただき、2科13種(1種は私によるイベント後の追加採集)が採集されました。
 驚いたことに、この13種の中にキョロロ未確認の種が2種も含まれていました。1種はErioptera xanthopteraという種で、全国採集してきた私でも青森県でしか確認していない種でした。もう一種はRhipidia属のEurhipidia亜属に含まれる未記載種(≒新種)で、国内では新潟県のみで確認している種でした。今回採集した種の約15%もがキョロロ未確認の種ということになります。


 ガガンボに限らず、生物は同じ場所でも毎年異なる様子を見せてくれます。例えば去年全く見られなかった種が、今年はたくさん見られる、あるいはその逆の現象が起こることがあります。ある程度調査したつもりでも、まだまだ未発見の種が潜んでいるという奥深さや、生物相を知る上で毎年調査を続けることの大切さを思い知らされる回となりました。皆様のご協力のお陰です。ご協力いただきありがとうございました。

 採集後は、標本づくりの最初の作業である展翅・展足に挑戦してもらいました。ガガンボの場合は三角紙に挟むのですが、その時に翅を背中側に立て、脚を綺麗に畳みながら体を横に向けて入れるという、極めて難しい作業です。余計な力を入れると体が潰れたり、簡単に脚が取れてしまったりと、ガガンボのもろさを体験して頂けたかと思います。

 次回のガガンボしらべは約2か月後の9/3となります。今回のような驚きの発見にまた出会えるかもしれません。皆様のご参加をお待ちしております。