Archive for the '④キョロロ雑記' Category

【開催報告】森のめぐみふれあい木育体験2026

火曜日, 6月 2nd, 2026

5月30日(土)に妻有木育推進協議会主催の「森のめぐみふれあい木育体験2026」がキョロロを会場に開催されました。
スギの特殊伐採の見学
、森林整備体験と伐採木を使った昆虫ハウス(エコスタック)作り、木のおもちゃ体験、スウェーデントーチで焚き火&焼きジャガなど、森のめぐみを五感で感じ学ぶことができる盛りだくさんな木育体験が行われました!

まず最初にスギの伐採見学です。
木材として私たちが木を使うことができるのは、山で木を育て・伐る「林業」というお仕事があるのおかげです。
今回も「木こり屋八十八」の太島さんから、通常の伐採が困難な場所で行う「特殊伐採」という樹木の上部から切り下ろす伐採方法をご披露していただきました。
先端の幹をまず伐採し、その後残った株を伐倒していただきました。

木を伐るのは地面ではなくなんと地上20mほどの木の上。
華麗なロープさばきで、あっという間に木のてっぺん近くに!子どもたちからは「カッコいい!」「やばーい!」の声。
林業の山でのお仕事は普段なかなか見ることができないのに加え、特殊伐採ともなるとレアな作業を見学することができました。
ズドーンという大きな音と共に倒れるスギの木。伐採は木の「命」が木材として使われていく最初の作業です。

切ったばかりのスギの木は瑞々しく木の香りもフワ~と漂います。
年輪を数えると約40年。「お父さんと同じくらいだ!」との子どもの声も!

伐ったスギの木は来年用のスウェーデントーチを作っていただき、
輪切りは鍋敷き用に自由にお持ち帰りいただきました。

引き続き、森林整備体験で森の生き物のための森づくりを行いました。
林内の低木を伐採し森を明るくし、伐採木を積み上げて昆虫の産卵場所や隠れ家となる「昆虫ハウス(エコスタック)」をみんなで作りました。

ノコギリを使って自分の手で木を切り進めると、林内がどんどんすっきりとし、明るくなっていきます。
森が明るくなると土の中で眠っていた種子(埋土種子)の発芽が促進され、森の再生も促されます。
今回はこれまでのイベントでは手付かずのエリアの伐採だったため、木々も込み合い作業も大変でしたが、森は明るくなり風も通るようになり&大きな昆虫ハウスが完成しました!

私たちは暮らしに使うエネルギーのほとんどを化石燃料に依存していますが、木は燃料として使われてきた持続可能な資源でもあります。
昨年のイベントで作って乾燥させたスウェーデントーチで焚火の体験も!
スウェーデントーチは近年キャンプなどでのアウトドアアイテムとして人気のある丸太型の焚火です。

スギの葉っぱ着火し、もろもろと火が大きくなり、スウェーデントーチに火が移っていきます。
ジャガイモもうまく焼けました。
木の命が燃料に変わり、熱やけむりが発生し、おイモを美味しくしてくれる。そんな過程も五感で感じることができました。


管理棟では「森のおくりもの」さんによる木のおもちゃ体験が行われました。
地域の木で作られた木のおもちゃの数々です。
積み上げたり、崩したり。音を奏でたり、おままごとをしたりと、子どもたちの多様なあそびが繰り広げられました。
木の手触りやぬくもりを感じながら、木のおもちゃで遊ぶ楽しそうな子どものたちの声が響いていました!


里山の中で森の様々なめぐみを体験を通じて感じることができた「森のめぐみふれあい木育体験」。
晴天の中、木陰ではさわやかな風も感じながら、森のめぐみにふれる素敵な時間を過ごすことができました!

【開催報告】学芸員と歩く!美人林の秘密めぐり(春季企画展関連イベント)

水曜日, 5月 27th, 2026

5月24日(日)春季企画展関連イベントとして「学芸員と歩く!美人林の秘密めぐり」を開催しました。
定員を増員するほど多くの皆さんからご参加いただき、里山を代表するブナ二次林「美人林」を会場に、美人林の成立の背景、多雪地域ならではのブナ林の特徴や生物多様性、人々の暮らしとの関わりをご紹介しました。
※春季企画展「棚田とブナ林-地すべりと豪雪に生きる-」開催中です(会期:2026/7/12まで)!


▲「学芸員と歩く!美人林の秘密めぐり」

美人林はブナの原生林ではなく、今から100年ほど前の大正末期に炭焼きのために伐採され、その後再生した二次林と呼ばれるタイプの森林です。
ブナが高密度で再生してきたため、枝ぶりが広がらず、電柱のような通直な樹形となり、この姿が美しいということから「美人林」と名付けられました。
美人林の成立には里山の人の営みが深く関係しています。

▲初夏の美人林(2026.5.24)

今年の春間伐されたブナの年輪を観察してみました。
この個体が若い頃(数十年前)の年輪と近年の年輪幅を比べてみると、近年は判読が難しいほど年輪が細かく、ほとんど幹が太ることができていません。
これは、美人林に生えるブナの密度が高く、過密状態となりブナが葉を豊富につけることができず、肥大成長が停滞していることを示しています。
細いブナが高密度で生える美人林の特徴的な景観は、見方を変えると過密状態でブナの成長が停滞している側面もあります。

▲美人林のブナの年輪の観察

美人林の中央にある池は明治末期に谷にダムをつくり、農業用水のため池として作られた人造の池です。
しかもこの水を棚田に引くために、美人林の地下には手掘りのトンネルがあります。
この地域の棚田は天水に依存する箇所も多く、棚田の上部にはため池があり、その周辺に水源林としてブナ林がある景観が特徴的です。
雪解け水・雨水とブナ林・棚田とのつながりを解説しました。

▲美人林のため池の解説

ブナの幹を眺めると白い斑点模様があります。
これは「地衣類」という生き物。しかも菌類と藻類という別の生物が共生関係を結んでできた複合体です。
よく見ると、地衣類には何かが削って食べ進んだような筋状の痕があります。その正体は……?

▲美人林のブナの幹に付着する地衣類

ブナ林の植物も観察しました。
「イワガラミ」は名前の通り絡みついて岩などに這いのぼるツル植物です。
葉や茎に「夏のある野菜」に似た特徴的な香りがあります。香りを嗅いで参加者の皆さんと答え合わせをしたところ、23名全員の答えが一致しました!
イワガラミ以外にも、「オオバクロモジ」の香りも楽しみました。

▲イワガラミ(ブナ林に生育する落葉ツル植物)

足元にはブナの落葉がたくさんあります。
参加者の皆さんと足元に落ちているブナの落ち葉を探し、美人林と東京周辺のブナを比べながら、葉の大きさや生理的な特徴の違いを観察しました。


▲参加者各々が探した大きなブナの葉

ブナ林を歩くと足元はふかふかしています。
ブナ林の土壌を観察し、落ち葉の分解や足元の土壌動物の特徴を解説し、ブナ林の水源涵養機能について考えました。


▲ブナ林の落葉層の観察

ふかふかの落葉層を観察した後、美人林の入り口付近で改めて、土壌を観察してみました。
落葉は粉砕され、ブナの根が露出しています。
現在、美人林は気軽にブナ林を楽しめる場所として、年間10万人もの方が訪れる新潟県を代表する観光地となっています。
一方で、観光利用やオーバーツーリズムによる踏圧など、里山のブナ林ならではの課題もあります。
最後は、美人林を「利用すること」と「守ること」の両立について、参加者の皆さんと考えながらイベントを締めくくりました。

▲根が露出し、踏圧で地面が固くなっている美人林の入り口付近。

雨の後ということもあり、幹を流れ下る雨の道「樹幹流」も観察できました。
初夏のすがすがしい空気の中、美人林のさまざまな秘密を参加者の皆さんと一緒に楽しむ一日となりました!

【6/21開催】講演会「地すべりと棚田-動く大地と共に生きる里山-」春季企画展特別講演会

土曜日, 5月 23rd, 2026

春季企画展特別講演会「地すべりと棚田-動く大地と共に生きる里山-」
現在開催中の企画展「棚田とブナ林-地すべりと豪雪に生きる-」に関連し、6/21(日)に【地すべり】に関係した講演会を開催します。
地すべりは、時に災害として私たちの暮らしを脅かします。一方で、地すべりによって形づくられた斜面には棚田が広がり、私たちはそこから多くの恵みを受けてきました。数百万年以上前の日本海の堆積物が隆起して生まれた大地の上で、棚田と共に里山の景観や暮らし、生物多様性、伝統知が育まれてきました。大地の時間と人の営みがつながる物語を、一緒にたどってみましょう。

【日時】2026年6月21日(日)13:30-15:30
【会場】「森の学校」キョロロ
【定員】30名 【参加費】入館料のみ
参加お申込みはお電話またはイベント予約申込フォーム
【後援】十日町地域振興局

〇講演:「地すべりと棚田 -動く大地が育んだ里山のめぐみ-」
講師:渡部直喜氏(新潟大学 災害・復興科学研究所 防減災技術研究部門 准教授)
「地すべり」をキーワードに、この地域の地質的背景と棚田の成立との関係についてお話いただきます。

〇朗読:「杢坂と杢兵衛伝説」
演者:松之山朗読会の皆さん
十日町市松之山兎口地区に伝わる、約500年前の地すべりから村を救った男・杢兵衛の人柱伝説です。

皆様のお越しをお待ちしております。