第4回つまり市民里山学会
水曜日, 2月 15th, 2012先週の11日(土)、十日町市情報館で「つまり市民里山学会」を開催しました。
第4回を迎える今年は、妻有地域で活動する自然愛好団体や個人から8つの
発表がありました。前のブログで村山館長から一部紹介されたので、今回は
それ以外の発表を中心に紹介します。
蔵品教育長より開会挨拶を頂き、学会スタートです。
まずは、プロアウトドアインストラクターの南雲敏夫さんによる「十日町おもしろ自
然写真」の発表です。巣箱からひょっこりと顔を出したムササビの写真など、他で
は見ることのできない貴重な写真の数々に驚きの連続でした。
新潟大学の山口勇気さんは、キョロロの森で見つかったアリや、彼らの不思議な
生態についての発表です。こんなにいろんなアリがキョロロにいるとは!小さな
アリ達も多様なのですね。
里山めぐみ案内人の会の小口成一さんからは、会で行っている美人林の案内活動
についてお話しいただきました。案内を受けている参加者の笑顔が、ガイドの素晴ら
しさを表しているな~、と感動しました。
津南町の涌井泰二さんは、個人で行っている森づくりについての発表です。
ススキだらけの荒地が、涌井さん家族の日々の努力により徐々に豊かな森に
なって行く様子は、すごい!の一言。森づくりの楽しさと、雪害との闘いの苦労
が伝わってきました。
キョロロの伊藤研究員からは、大松山での「花ごよみ調査」の報告です。
調査コース上には、菌根菌をもち貧栄養な尾根沿いでも生育できるヒメヤシャブシ
などの花がみられたとのこと。植物の環境への適応を垣間見ました。
最後は私でキョロロ周辺のブナ林、スギ林、混交林で採れた昆虫の
比較調査です。
前年の永野学芸員による土壌動物の比較調査を受け、土の上を飛ぶ飛翔昆虫を
使って、林相間の比較を行いました。
土壌動物ではブナ林よりスギ林の方が豊かであるという意外な結果が出たのです
が、飛翔昆虫では個体数や種数を見ると、スギ林よりブナ林や混交林の方が豊か
だという結果が出ました。しかし・・・、平均多様度という指数で比べると、3つの林に
ほとんど違いはなく、どの林も豊かだという結果に・・・
キョロロ周辺の森の豊かさを評価するには、更なる調査が必要のようです。
今回は非常にバラエティーに富んだ発表で、聴衆を飽きさせない充実した学会とな
りました。来年はどんな発表が聞けるか、今から楽しみです。
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撮影日:2012年2月11日