里山の生き物サポーターズ①-生き物も暮らしやすい田んぼづくり-を開催しました。

今年第1回目の「里山の生き物サポーターズ」を4/24(土)に開催しました。「里山の生き物サポーターズ」は里山管理活動と連動したボランティアの皆さんの協力による生物多様性保全活動です。里山の田んぼ、ため池、森、草地をフィールドにした里山管理活動を通して、みんなで楽しく生き物が暮らしやすい環境の創出や維持を目指しています。
今回は「生き物と共存できる田んぼづくり」をテーマに、田んぼに通年水があり水生生物が避難できる水路「江(え)」をつくりました。

キョロロの田んぼに昨年作った「江」を補強し、さらに増設する形で作業を進めました。
大人の方は力仕事をおねがいしました!田んぼの中にあぜをつくり、水が通年溜まる環境をつくります。
なかなかの重労働となりました。大変ありがとうございました。

子どもたちは、江以外の場所で生き物採集と観察を行いました。
トノサマガエル、二ホンアマガエル、アカガエルの仲間の卵塊、アメンボやオオコオイムシ、シナイモツゴやメダカ、マルタニシ、ヒル、複数種のヤゴなどが観察できました。
キョロロの田んぼは通年乾かさない田んぼですが、雨が少ない夏場には干上がることもありました。
干上がる可能性のある場所にいるこれらの生物を、江の方に移動する作業をお手伝いしてもらいました。


まだ周囲には残雪があるますが、田んぼの水は冷たくなく、素足で入った子どもたちからは「気持ちいい~」との声も。
走ったり、全身水や泥まみれになったりと、しっかり遊びも楽しみながら!


「江」は本来冷たい水が田んぼに直接入らないようにいったん水を滞留させる通水路ですが、多様な水生生物の生息環境でもあります。現代の慣行農法で広く行われる中干しの際にも、生き物の避難場所として機能する側面があることから、生物多様性保全に視点を当てた環境保全型農業の一つとして導入されています。農業と生物多様性の保全を両立する取り組みの一つとして、キョロロの田んぼに江をつくり、生物多様性の保全に配慮したお米作りの舞台の整備につなげていきます。

最後に完成した江に水を引き入れ、隣接する田んぼで採集した生き物たちを放しました。
お米作りの環境のすぐそばに多様な生物たちも暮らす環境も整備し、「お米づくり」と「生物多様性の保全」を両立できる環境の維持を目指していきたいと思います。

次回は森林をフィールドに、低木伐採とそれらを材料にした昆虫ハウスづくりを計画しています。
皆様のご参加をお待ちしております。

<里山の生き物サポーターズ>
キョロロでは里山管理活動と連動したボランティア型の生物多様性保全活動「里山の生き物サポーターズ」を実施しています。木を伐る、草を刈る、水環境を管理するといった伝統的な里山管理が、多くの生物の生息環境の創出や維持につながることに注目し、「里山の生物多様性の保全」という目標を共有しながら里山管理活動を参加者の皆さんと実践するものです。近年、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて、私たちの生存の基本である衣食住を担う「生態系サービス(生態系からの恵み)」の持続可能性が、重要なテーマとして認識されています。人間活動の影響を受けて持続的に維持されてきた里山は、持続可能な社会形成に向けた環境-人間のつながりを考える上で、実践的な学びや行動の舞台として適した場所の一つだと私たちは考えます。「里山の生き物サポーターズ」は、里山の生物多様性の保全を目的に誰もが参加できるボランティア参加型のイベントです。里山に関わる一人一人の行動が、里山の持続的な暮らしと生物多様性のつながりの実感に結び付き、里山の生物多様性の保全やその達成に向けた教育資源となることを期待しています。

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