11月の夜の里山探検の活動報告
日曜日, 11月 5th, 2023キョロロ人気イベントの一つの夜の里山探検。今回は初めての試みとして、夜には十分に寒くなる11月に実施しました。主にライトトラップに集まる昆虫を観察したり、夜にブナ林を散策したりしました。
この時期の夜に生き物が見れるのかと疑問に思う方も多いかもしれません。実際、これまでのより温かい時期に実施した夜のイベントでは、草や枝の上、池の中や水際に昆虫、カエル、イモリ、メダカなどがたくさん観察されましたが、今回はその機会はだいぶ少なくなりました。しかし、ライトトラップでは主に晩秋に発生する魅力的な昆虫が集まってくれました。この日はちょうど日中の気温が高く、月の光も弱いというライトトラップには好条件の天候でした。この時期を代表する大型の昆虫として、子供の手のひらサイズはある、ヒメヤママユ、ウスタビガ、クロウスタビガの3種のヤママユガ科が挙げられますが、なんとそのうちの後者2種が来てくれました。もともとこれらの蛾を知っている参加のお子さんたちは大興奮。その他にも様々な蛾や、トビケラやガガンボも多く来ていました。下の写真はこのライトトラップにやってきた蛾で、赤丸は晩秋のみに成虫が発生する種を意味します。
前半には徐々に虫が集まってきましたが、後半は気温がさらに低くなったためか、ほとんどライトに着た虫に変化は起こらず。それからは夜にうっすらと光ることが知られるツキヨタケを観察しに、ブナ林に入りました。ツキヨタケはブナの立ち枯れや倒木にこの時期によく生えますが、やや時期が遅く、キノコが古くなってしまい、ほとんど光っている様子は観察できませんでした。しかし、そのキノコを食べに来る、キノコムシ類、ハネカクシ類、ケシキスイ類、ヤマナメクジなどが大集合していて、楽しい観察ができました。
このように、吐く息が白くなるほどの寒さの中でも多くの生き物を観察できました。寒い時期に活動することのメリットの一つに、天敵が少ないため捕食されにくいという点があります。これからの時期、さらに昆虫の量は減っていきますが、一般にフユシャクと呼ばれるシャクガ科の蛾などが主に活動し始めます。ご参加のお子さんからは、12月にもライトトラップをやりたいというお声もいただきました。さらに寒く静かな夜に、ひらひらと弱々しく飛ぶ蛾の姿は何とも言えない趣があります。12月の夜の里山探検もぜひ検討したいところです。今回寒い中ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
※11月6日 カバエダシャクをエグリヅマエダシャクに修正しました。