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【実施報告】ザリガニ捕獲作戦。7月の「里山の生き物サポーターズ」

水曜日, 7月 27th, 2022

7月の「里山の生き物サポーターズ」はザリガニ捕獲作戦。キョロロの森は環境省の「生物多様性保全上重要な里地里山」に指定されており、多雪地の里山の自然環境が広がっていますが、近年外来種アメリカザリガニの侵入が確認されています。アメリカザリガニは、水草や水生生物などを捕食し、繁殖力も高く、水辺の生態系に対して大きな影響を与えていることが明らかになっています。7月はキョロロ周辺のため池に罠を設置し、回収し、捕獲されたザリガニついて観察し、里山の生物多様性に対する「外来種の影響」について考えました。

各自エサをいれた罠をため池に仕掛けます。回収は1時間後。さてザリガニは入っているでしょうか?
アメリカザリガニが多くなると水が濁り、水草も減少します。このため池もにごっており、水草も生えていません。

待つ間に、あらかじめ仕掛けておいた罠を回収してみます。
中にはこんなに大きなハサミをもった大型個体も。

罠に入っていたオタマジャクシやアカハライモリにはしっぽが切られたような痕も。
これはザリガニの仕業かもしれません。

1時間後に罠を回収すると、大きなアメリがザリガニの姿が!
場所よってはザリガニが入っていない罠もありでしたが、今回の活動で58匹(オス24、メス34)のアメリカザリガニを捕獲することができました。
オスとメスの見分け方を学び、オスとメスに分けて観察してみました。

アメリカザリガニは雑食性の食性を持ち、藻類、水草、落ち葉、小魚やオタマジャクシ、水生昆虫や動物の死体含め何でも食べるという特徴があります。
繁殖力も高いため、これが結果的に在来生物やその住処を減少させることにつながっています。
またハサミを器用に使うことができ、田んぼのあぜに穴があき水が抜けてしまう被害が発生することがあります。
在来種やお米作りにも大きな影響を与えるアメリカザリガニですが、悪気があって在来種を食べたり、田んぼに穴をあけているわけではありません。
外来種の被害を予防するための3原則「入れない、捨てない、拡げない」を理解しながら、私たちはどのように外来種と共生していったらよいのか、考え・行動する機会になれば幸いです。

<里山の生き物サポーターズ>
キョロロでは里山管理活動と連動した市民参加型の生物多様性保全活動「里山の生き物サポーターズ」を実施しています。木を伐る、草を刈る、水環境を管理するといった伝統的な里山管理が、多くの生物の生息環境の創出や維持につながることに注目し、「里山の生物多様性の保全」という目標を共有し、自然のめぐみも楽しみながら里山管理活動を参加者の皆さんと実践するものです。
近年、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて、私たちの生存の基本である衣食住を担う「生態系サービス(生態系からの恵み)」の持続可能性が、重要なテーマとして認識されています。人間活動の影響を受けて持続的に維持されてきた里山は、持続可能な社会形成に向けた環境-人間のつながりを考える上で、実践的な学びや行動の舞台として適した場所の一つだと私たちは考えます。「里山の生き物サポーターズ」は、里山の生物多様性の保全を目的に誰もが参加できるボランティア参加型のイベントです。里山に関わる一人一人の行動が、里山の持続的な暮らしと生物多様性のつながりの実感に結び付き、里山の生物多様性の保全やその達成に向けた教育資源となることを期待しています。