チョウの色を写しどり!鱗粉転写標本づくり体験を開催しました
2026年 1月 11日at 8:30 AM kyororo @③イベントだより
里山の野山を舞う美しいチョウたち。その翅(はね)の模様は表面にある「鱗粉(りんぷん)」によってつくられています。
チョウの翅の模様はチョウの種を同定するための重要な手がかりであり、チョウの標本を作る際は必ず翅の模様が一目で観察できるようにします。標本箱の中に整然と並んだチョウの標本は芸術作品にも通じる美しさがあります。一方でチョウは昆虫の中でも標本にすることが難しく、初心者には手が出しづらいグループです。同定に必要なチョウの翅の鱗粉だけを紙に写しとる鱗粉転写標本は作製が難しいチョウの標本を簡便に作る方法の一つとして知られています。「森の学校」キョロロでは1月10日(土)に、昆虫標本づくりの入門編としてチョウの鱗粉転写標本を作製する体験イベントを開催しました。

イベント冒頭ではチョウの鱗粉や標本を作る意味についてキョロロの研究員から解説した後に、キアゲハなどのチョウを材料に鱗粉転写標本の作製にチャレンジしました。最初のステップはチョウから翅を切り取りから。
翅から鱗粉を剥がさない様に、ピンセットを使って慎重に胴体から翅を切り取ります。切り取った翅は息を吐くだけで飛んでしまうほどの軽さ。表裏(背腹面)や前後(前翅・後翅)がバラバラにならない様に気を付けます。

切り取った翅を蝋を塗布した表面が滑らかな厚紙で挟み、紙の上から擦ることで鱗粉を厚紙へ貼り付けます。挟んだ後は動かさない様に擦ることが綺麗に転写するコツ。硬いオニグルミの殻はその丸みがこの作業にピッタリでした。

厚紙を開く瞬間には緊張が走ります。上手く転写できれば翅の模様がそのまま厚紙へと転写され、透明なチョウの翅が残ります。
転写した鱗粉は翅の形に切り取って台紙に貼り付けます。標本に最も重要な採集情報も書き込んで、最後にラミネートすれば完成!
綺麗なキアゲハの鱗粉転写標本ができました。

鱗粉転写標本は翅の表裏両面の模様を同時に観察できるだけでなく、その並べ方も自由にできることが面白い点です。今回は元になったチョウを再現するように鱗粉を並べましたが、異なる個体の翅の表面や裏面だけを並べるといった方法をとることもできます。通常の標本ではできないチョウの標本コレクションを鱗粉転写標本で作っても楽しいかもしれません。鱗粉転写標本に必要な材料は標本となるチョウの他に、鱗粉を写しとるための表面が滑らかな厚紙(ケント紙など)、鱗粉を紙に貼り付けるための蝋などです。採集したチョウはすぐに標本にできなくとも、ラベルを書いて乾燥剤・防虫剤と一緒に三角紙で保管しておけばよいので本格的な標本よりもずっと気軽に始めることができます。チョウは春になればすぐに飛び始めます。夏休みの自由研究に向けて今から鱗粉転写標本の計画を始めてみてはいかがでしょうか。
