Archive for the '①生き物だより' Category

【開催報告】第15回つまり市民里山学会(2025.8.30開催)

月曜日, 9月 1st, 2025

8月30日(土)に「第15回つまり市民里山学会」を十日町情報館を会場に開催しました。
十日町市と津南町からなる越後妻有(つまり)地域の里山の自然に関する多彩な研究や活動に関する6つの発表が行われ、活発な質疑が行われました。
残暑厳しい中ですが、たくさんの皆さまからご参加いただき、大変ありがとうござました!

▲会場の様子

発表①「保護したブッポウソウの正体は?」村山祐一(松之山野鳥愛護会)
ブッポウソウは県内で生息地が激減し絶滅危惧種に指定されている野鳥で、松之山野鳥愛護会では巣箱を設置するなどの保護活動を行っています。2024年に巣箱付近で保護されたオスのブッポウソウの様子や、巣箱を使用し営巣するブッポウソウペアの様子などから、営巣天然木の減少が巣箱争奪戦の激化を招いている可能性や、巣箱架設による保護活動の継続の重要性について発表いただきました。

発表②「きらきら⭐植物の宝石-ブナのプラントオパールができるまで-」阿部優(十日町市立西小学校)
プラントオパール(植物珪酸体)はイネ科でよく研究されていますが、樹木のブナに関する知見はほぼありません。阿部さんはキョロロに植えられたブナを葉を根気強く観察し、葉の表面に形成されるプラントオパールの形や数を明るさなどの条件を変えて観察しました。さらにフォッサマグナミュージアムで電⼦顕微鏡と蛍光X 線分析装置を借り成分分析をしてプラントオパールだと確認するなど、ブナの葉のプラントオパールの形成過程の観察や成分分析について発表いただきました。阿部さんの発表内容は、昨年度第60回新潟県児童生徒科学研究発表会で県知事賞を受賞されました。

発表③「松之山付近の水生昆虫について<水生カメムシ編>」佐藤日向(さいたま市立大宮北中学校)・内田大貴(埼玉県立自然の博物館外部研究者)・高野雄一(埼玉県三芳町)・岩田泰幸(公益財団法人 文化財虫菌害研究所)
松之山で水生昆虫を調査・研究されている中学生の佐藤さんによる、水生カメムシに関する調査の報告です。松之山で記録された様々な水生カメムシの仲間を映像なども用いて丁寧にご紹介いただきました。水生カメムシの仲間が多様な理由として、ため池がたくさんあり植生が豊か、餌となる生き物が豊富、侵略性の高い外来種がいない(少ない)、護岸工事がされてないなど、里山ならではの景観・植生の特徴からご紹介いただきました。また十日町市産の標本から今年新種記載した甲虫についてもご紹介いただき、今後の調査研究の進展も期待されます。

発表④「友の会メンバーを対象としたアンケートへの回答に見るキョロロとの関わりを左右する要因」三島らすな(明治大学大学院農学研究科)・倉本宣(明治大学農学部)・小林誠(「森の学校」キョロロ)
明治大学大学院の三島さんはキョロロの博物館活動を研究テーマにされており、開館以降の友の会会員の変遷や、会員へのアンケート調査・分析した内容を今回ご報告いただきました。キョロロ友の会メンバーは近年都市部の居住者が増加したこと、会員の継続はライフステージやライフイベントによって大きく左右されるものの、会員は生き物や自然に仲間と共にかかわり学べる場として価値を感じていたり、楽しさや使命感を伴うようなキョロロや松之山における一員としての役割の有無などによって左右されるなど、今後の友の会活動に重要な示唆を与えていただきました。

発表⑤「癒しの森 樽田のブナ林」岡村昌幸・照井麻美(津南町森林セラピー推進協議会(ぶなもりの会))
津南町森林セラピー推進協議会の岡村さん・照井さんからは、津南町の樽田のブナ林で展開されている森林セラピー活動の内容や近年の取り組みについてご発表いただきました。岡村さんからは樽田のブナ林の四季の風景と共に、津南町森林セラピー推進協議会(ぶなもりの会)の活動、森林セラピー体験の効果や実際の体験の様子を素敵なお写真や動画を用いてご紹介いただきました。後半、照井さんからは森林セラピー体験と「雪国リトリート」との連携についてご紹介いただき、一般的なリフレッシュ旅とは本質的に異なる「自分との対話・私の再生」という掘り下げ、地域の食文化要素も取り入れたプランニングなど、雪国リトリートの価値についてご紹介いただきました。

発表⑥「クワガタムシをきっかけにした移住〜オフィスワークから自然観察活動へ〜」高木良輔(雪国クワガタ)
地域おこし協力隊をご退任後に引き続き地域で自然ガイドなどで活動されている高木さんからは、起業された「雪国クワガタ」のご活動とその背景についてご紹介いただきました。幼少期のご経験、移住・地域おこし協力隊への応募にいたる想い、クワガタムシなど昆虫を中心にした起業について、ご自身の個人史と共にご紹介いただきました。地域の廃材や山林といった地域資源の活用、昆虫の養殖に関しては地域生態系への配慮など、松代地域の里山の自然環境を活用された今後のご活動にも期待です。

例年よりも多い6題の発表に対して、会場からはたくさんの質問が飛び交い、活発な質疑応答が繰り広げられました。
つまり市民里山学会は、市民の皆さんの活動について発表する場を設けることで、お互いに学びや交流を深め、活動内容の充実を図ることを目的としています。
地域の自然や文化の価値の理解を深め、そしてその保全や活用に向けて、市民の皆様の今後の積極的な取り組みの一助となりますことを、今後とも期待しています。

8月のこども探鳥会の報告と定例探鳥会のご案内

木曜日, 8月 21st, 2025

8月のこども探鳥会の報告

日時:2025年8月9日(土)午前8時~9時30分、天候:晴れ、時々曇り、開始時気温:23℃、参加者数:子ども5人、大人9人

久しぶりに雨が降った後の気温が低い朝、気持ちの良い探鳥会でした。
ツバメの親鳥と幼鳥が群れて電線で休み、ホオジロが電線をソングポストにして囀り続けていました。エンジュの木にコゲラの幼鳥が3羽飛んできて、盛んに幹で餌を探していました。サシバが滑空して輪を描きながら上昇していました。イカルの心を癒すようなきれいな声の囀りや、キジバトの心に響くような声を聞きながらの探鳥会でした。鳥合わせをしているとホトトギスがいきなり鳴き、1種を追加しました。

参加した子どもたちは夏休みで久しぶりに会ったのでしょうか、仲良くはしゃいでいました
途中で、植物のショウブの良い香りを嗅いだり、初めて見るショウブの花穂の花柄を観察したりしました。動物のしっぽのような形に皆さん驚いていました。

確認できた野鳥 14種 キジバト、アオサギ、ホトトギス、サシバ、コゲラ、アオゲラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ツバメ、ニュウナイスズメ、スズメ、ハクセキレイ、イカル、ホオジロ

当日観察された野鳥


▲今年のツバメの幼鳥


▲ハシブトガラスの幼鳥


▲電線をソングポストとしているホオジロ


▲木の幹で餌を探すコゲラの幼鳥


▲3羽の群れでエンジュの幹で餌を探すコゲラの幼鳥


▲探鳥の様子


▲コゲラを観察する子どもたち

 

8月の定例探鳥会のご案内

松之山野鳥愛護会と「森の学校」キョロロが協働で開催する、松之山地域の野鳥相を調査する定例探鳥会を今年度も毎月第4土曜日に開催しています。
野鳥の移動が始まる季節です。どんな様子が見られるでしょうか。

【日 時】令和7年8月23日(土)午前5時〜8時
【集合地】「森の学校」キョロロ駐車場
【日 程】5:00 探鳥会開始
7:40鳥合わせ・情報交換
8:00 終了予定

 

最近撮影された野鳥


キジバト


アオサギ


虫を咥えるモズの幼鳥


モズ


電柱のてっぺんでこちらを見るノスリ


獲物を探すノスリ


ノスリの幼鳥かな?

キョロロの森は開館時間の利用に限定されています。松之山野鳥愛護会またはキョロロが主催する探鳥会を除き、許可なく立ち入りはできません。地域内でも来訪者による野鳥観察が原因となって、地元とのトラブルが多発しています。また、最近では近隣でツキノワグマの目撃が複数回報告されています。野鳥の保護・保全と安全のため、掲示されている看板の内容に従っていただくとともに、ルール・マナーの順守徹底をお願いいたします。

塗って学ぼう!トノサマガエル

水曜日, 8月 13th, 2025

8月11日(月・祝)に夏季企画展特別イベント「塗って学ぼう!トノサマガエル」を開催しました。
講師は妙高高原ビジターセンターの佐藤直樹さんです。
3Dプリンターで造形した原寸大トノサマガエル模型に、生体を観察しながら着色します。
自分だけのリアルトノサマガエル模型をづくりに、レッツチャレンジ!

冒頭、講師からトノサマガエルについてお話をお聞きしました。
なぜ「トノサマ」なの?どうして絶滅危惧種になったの?
トノサマガエルを中心に、クイズも交えながら両生類に関するお話をお聞きました。

その後、アクリル絵の具を用いて模型に着色していきます。
実際にトノサマガエルを観察しながら、各部位がどんな色をしているのか見ながら塗っていきます。
お腹から塗り始めるのがおススメ。塗って、乾かし、塗って、乾かしと、塗り重ねながら着色していきます。




みなさん、それぞれの表現方法で、背中の背中線、模様、色彩などを着色されました。

カラフルでリアルなトノサマガエルが完成です!


どれもトノサマガエルの特徴がよく表れています!

県内では絶滅危惧種となっているトノサマガエルは、耕作放棄やお米作り環境の変化で減少しています。
講師からは「トノサマガエルが見られなくなったら、このイベントもできなくなりますね」とコメントもいただきました。
イベントを通じて、トノサマガエルが暮らせる環境を考えるきっかけになれば幸いです。