【スゲしらべ】今年の春に見られたスゲの報告
日曜日, 5月 25th, 20255月17日、24日に、キョロロの森に生えるスゲの調査を実施しました。両日2時間ほど歩き、見られたスゲを採集、持ち帰って標本にしました。
スゲの仲間は、果実が同定のカギになります。今年は、積雪が多く雪解けが遅かったため、残念ながらまだ果実になっていない株が多かったです。そんな中、結実しているものを何とか集め、全部で8種類の標本を得ることができました!キョロロの森でよく見かけるスゲは、今回の調査でおおかた記録できたと思います。参加いただいた皆様には、感謝申し上げます。
一方で、湿地の畔に生えるスゲは、果実が出来るのが遅いため、夏ごろに再調査する必要があります。また、キョロロの森には岩場が無いため、岩場を好むスゲは出現しませんでした。キョロロでのイベントは今回で終了ですが、十日町市内含め、まだまだスゲ調査の余地はあると考えています。
〈調査詳細〉
5/17:調査距離約1.5 km;調査時間2時間;調査人数3人;採取標本数14点(4種)
5/24:調査距離約2.0 km;調査時間2時間;調査人数3人;採取標本数17点(7種)
〈確認された種類〉
・ミノボロスゲ(Carex nubigena D.Don subsp. albata (Boott ex Franch. et Sav.) T.Koyama)
道沿いや芝生などに多い
・メアオスゲ(Carex leucochlora Bunge var. candolleana (H.Lév. et Vaniot) Katsuy.)
芝生や林内などに多い
・ニシノホンモンジスゲ(Carex stenostachys Franch. et Sav. var. stenostachys)
斜面に多い。日本海側に固有。松之山周辺ではタツノケやタツノヒゲと呼ばれる。葉は細長くて切れづらく、物を結んだりミノボウシを編むのに使われた
・オクノカンスゲ(Carex foliosissima F.Schmidt var. foliosissima)
林縁や湿った斜面に多い。日本海側に固有
・ミヤマカンスゲ(Carex multifolia Ohwi var. multifolia)
林縁や湿った斜面にまばら。松之山周辺ではヒロロ、ヒロノと呼ばれる。葉は幅広で切れづらく、手触りがなめらかなため、ミノを編むのに使われた
・ヒメスゲ(Carex oxyandra (Franch. et Sav.) Kudô)
キョロロの森では稀。踏圧の激しい林内で1箇所のみ確認している
・ショウジョウスゲ(Carex blepharicarpa Franch.)
湿った斜面に多い
・カサスゲ(Carex dispalata Boott)
浅い湿地に一面に生える。茎は長く立ち、葉は幅広で艶やか。ヤマガサを編むのに使われる
(その他。果実以外の観察で、確証は無い種)
・ミヤマシラスゲ(Carex confertiflora Boott)
・シラスゲ(Carex alopecuroides D.Don var. chlorostachya C.B.Clarke)
・カワラスゲ(Carex incisa Boott)
・ナガエスゲ(Carex otayae Ohwi)
・タガネソウ(Carex siderosticta Hance)
果実が出たら続報を出します。
追記(2025.6.4):当初ホソバカンスゲとしていた種は、全てオクノカンスゲでした。