Archive for 5月, 2022

5月ハナアブしらべの報告

月曜日, 5月 23rd, 2022

今年度最初のハナアブしらべは5月21日にキョロロの森で実施されました。キョロロ周辺としてはハナアブの多様性が最も高くなる時期でしたが、天候は生憎の小雨で採集しにくい環境でした。しかし、参加者6名に一生懸命採集していただき、合計13個体7種のハナアブが採集されました(イベント中では種数のカウントを誤っておりました・・・)。そのうち2種は過去2年間のハナアブしらべでは発見されなかったもので、もう1種は初めて確認された可能性の高い不明種でした。採取された7種は以下の通りです。

①ツヤヒラタアブ 4♀

②ホソヒラタアブ 2♀

③ミナミヒメヒラタアブ 1♂2♀

④ツヤヒラタアブ属の一種A 1♂

⑤ツヤヒラタアブ属の一種B 1♀

⑥ツマキモモブトハナアブ 1♂

⑦タカオハナアブ 1♀

⑥のツマキモブトハナアブは2010年6月に旧キョロロ研究員が採取した1個体を確認したのみで、それ以降は松之山で確認されていなかった種でした。⑦のタカオハナアブは雪の少なかった2020年4月に採取されたのみでした。この2種は個体数が少ない、あるいは発生時期の短い、採取難易度の高い種なのかもしれません。

④⑤はツヤヒラタアブ属の不明種で、このグループは分類が難しく、専門家ですら種の分け方に現段階で明確な答えを出せていないものです。しかし、メスで腹部が細長く、黄色い模様が全くない⑤のBは今回初めて確認された種の可能性が高いです。

今回は残雪の影響のためキョロロ周辺で調査を行いましたが、次回以降は標高がそれより500メートルほど高い大厳寺高原や天水山付近で行いたいと思います。標高が変わると生物相も変わっていきますので、松之山未発見のハナアブが発見できる可能性が高くなります。次回の6月18日(土)のハナアブしらべは、大厳寺高原キャンプ場駐車場13:30集合で、可能であればそこから天水山の方に向かって調査をしたいと考えています。キョロロ周辺では聞くことができないエゾハルゼミの鳴声の中での調査となるでしょう。

ハナアブしらべは参加者とともに松之山に生息するハナアブ科を定期的に調査して貴重な自然資料として標本を残し、分類研究が十分ではない日本のハナアブ研究に貢献することを目的としたイベントです。研究が遅れている分、新発見に溢れたイベントです。次回も皆様のご参加をお待ちしております。今回ご参加いただいた皆様誠にありがとうございました!

昼間とは違う⁉ 夜の里山探検

日曜日, 5月 22nd, 2022

昨日19:30から「夜の里山探検」を開催しました。
普段は昼間に開催している「里山の生きもの探検」の夜バージョンです。
近くに明かりがほとんどないので、夜のキョロロ周辺は真っ暗!
昨日は曇って小雨も降っていたので、普段よりもさらにくら~い夜。
そんな暗いなか、参加者の皆さんにお集まりいただきました。

懐中電灯の明かりを頼りに、夜の里山探検にいざ出発!
さて、暗い水辺や林のなかで、生き物たちはどうしているのでしょうか?

おっと、水辺でなにかを発見!
一体なんでしょうか?

モリアオガエルでした!
水辺の木のうえなどで、メスを呼んだりなわばりを主張するために、鳴いていました。

ヤマアカガエルを捕まえた人も!
昼間と違って夜のカエルたちは警戒心が低いので、捕まえて観察しやすいですね。

そのほかにも水辺では、ゲンゴロウやアカハライモリなど、様々な生き物たちが見られました。
昼間にはどこかに隠れている生き物たちも、夜には活発に動きまわっています。


キョロロの夜のイベントは、「ホタル観察会(6/25 土)」や「夜の昆虫探検(7/30 土)」が予定されています。
夜の生き物たちの様子を観察してみたい!という方のご参加をお待ちしております!
詳細はキョロロHPの体験イベントをご覧ください。

▼キョロロの体験イベント(2022年4月〜7月)
http://www.matsunoyama.com/kyororo/wp-content/uploads/2022/05/event-2022-spring.jpg
(開催日の1ヵ月前から参加申込みの受付を開始いたします)

【里山の自然で学びを深める】教育利用シーズン到来。

月曜日, 5月 16th, 2022

GWが終わり、現在キョロロでは教育利用のトップシーズンに突入しています。
学校の総合学習利用、越後田舎体験での都市部の小中高生の自然体験、企業や大学生の研修(オンライン含め)、修学旅行など、テーマも「科学的な探求」「SDGs」「生物多様性」と様々です。雪国の里山の自然を舞台とした「体験」と「学び」を深める活動が連日展開されています。
体験の場の一つであるため池では、トノサマガエルやメダカ、ヤゴやコオイムシなどの水生昆虫を採集し、自分の手で生き物に触れながら里山の生物多様性について学びを深めています。天候にも恵まれ、里山に子どもたちの声があふれている初夏の里山です。

写真は市内の小学生の体験の様子です。
これから1年間かけて、キョロロに通いながら季節ごとの里山の自然を体験します。
元気いっぱいの子どもたち。どんな発見があるのか楽しみですね!