イナゴからハリガネムシ
金曜日, 8月 28th, 2015キョロロの裏手の草原にはたくさんのバッタが飛びまわっています。そのバッタを捕まえて、飼育しているアオズムカデに与えたところ、お腹からハリガネムシが出てきました。
残念ながらアオズムカデに食べられた際に、一部を食いちぎられてしまったらしく、何匹のハリガネムシが一匹のバッタに寄生していたのかは分かりませんでした。
ハリガネムシは、先ず水中で水生昆虫に寄生します。その後、寄生した水生昆虫が上陸した際にそれが肉食の昆虫 (カマキリやゴミムシ、キリギリス類など) に食べられることで、肉食の昆虫に寄生します。肉食の昆虫に寄生したハリガネムシは宿主をコントロールして水中に飛び込ませます。宿主が水に入ると、ハリガネムシは宿主のお腹から出てきて、水中で他のハリガネムシと交尾して子供を産みます。生まれた子供は水生昆虫に食べられることで再び水生昆虫に寄生し、上記のサイクルを繰り返します。
バッタは草食性なので通常はハリガネムシが寄生することはありません。しかし、稀にハリガネムシが寄生しているという報告がされています (Poulin, 1995)。それにしてもどのようにして寄生したのでしょうか。寄生していたバッタはツチイナゴの幼虫だと思われます。ツチイナゴは「イナゴ」の名前に反してイネ科植物だけでなく、色々な植物を食べますが、その中で偶発的にハリガネムシが寄生していた水生昆虫かその死体を食べてしまったのかもしれません。虫そのものだけでなく、それに寄生している生き物にも目を向けてみると、また違った視点が得られて面白いですね。