5/6 (土)にキョロロの森に生息するクモを調べる市民参加型生き物調査イベント、「森のクモしらべ」を開催しました。調査前日までの予報では当日の午後から雨となっていましたが、幸運にも天候が回復し曇天ながらもしばしば日が差す過ごしやすい天候の元で調査を行うことができました。調査ルートはキョロロからキョロロの森の中のブナ林まで。ルート沿いの草本や低木を捕虫網でスイーピングしながらクモを採集しました。調査中はクモだけでなく、ギフチョウやシオヤトンボ、ニワハンミョウといった昆虫も多数見つけることができました。
今回の調査では12科 20 属 26 種のクモを見つけることができました。
今回の調査での最大の収穫はサラグモ科の Tusukuru 属というグループに属するクモが発見できたことです。Tusukuru 属はこれまでに世界で 2 種が記載されており、今回はロシアの沿岸地域や千島列島南部で分布が確認されている Tusukuru tamburinus ツスクル・タンブリヌスというクモが発見できました。このグループは北海道では確認出来ていないので、北海道以南の地域での新記録となります。体長約 1.3 mm のほぼ真っ黒なクモで、本調査に参加してくれた子供たちとそのご家族が見つけてくれました。ちなみに Tusukuru ツスクルはアイヌ語でシャーマンを意味する言葉に由来します。不思議な響きの言葉に負けないくらい奇妙な形をしたクモです。
Tusukuru tamburinus ツスクル・タンブリヌス♂の背面 (上) と側面 (下)。
本調査で発見したクモ【12科 20 属 26 種】
ウズグモ科
1. ウズグモ科の一種 (未成熟)
タナグモ科
2. クサグモ (未成熟)
コモリグモ科
3. イナダハリゲコモリグモ (♀)
4. ハタハリゲコモリグモ (♀♂)
5. ウヅキコモリグモ (♀)
キシダグモ科
6. アズマキシダグモ (未成熟)
7. ハシリグモ属の一種 (未成熟)
ヒメグモ科
8. ヤマトコノハグモ (♂)
9. ヤリグモ (未成熟)
10. ハガタグモ属の一種? (♂)※標本が損傷しており同定が難しい
11. ヒメグモ科の一種 (未成熟)
サラグモ科
12. ヤガスリサラグモ (♀♂)
13. Tusukuru tamburinus (♂)
アシナガグモ科
14. メガネドヨウグモ (未成熟)
15. アシナガグモ (未成熟)
16. ウロコアシナガグモ? (未成熟)
コガネグモ科
17. カラオニグモ (未成熟)
18. ナカムラオニグモ (♂)
19. ムツボシオニグモ (未成熟)
カニグモ科
20. トラフカニグモ (♂, 未成熟)
21. コハナグモ (未成熟)
ネコグモ科
22. ウラシマグモ属の一種 (未成熟)
フクログモ科
23. フクログモ属の一種 (未成熟)
ハエトリグモ科
24. マミジロハエトリ (未成熟)
25. マガネアサヒハエトリ (♂)
26. ヤマトハエトリグモ属の一種 (未成熟)
出現種写真(一部)。番号は上記リスト番号に対応。