昨日、キョロロ友の会主催のイベント「池の生き物大調査」を実施しました。今年5月に実施した池の生き物大調査の秋バージョンです。条件付特定外来生物であるアメリカザリガニが侵入してしまった池で、どんな生き物が生息しているのかを調べます。場所は5月と同じくキョロロの森のため池です。今回は春よりも水草の種類が増えていたので、特に植物に力を入れて実施しました。
午前中は池の中で水生生物を採集しました。少し涼しくなってきたとはいえ、胴長靴を履いて動くと汗ばみます。講師の先生に教わりながら水草を採ったり、網で水生昆虫や魚を探しました。
▲調査の様子
午後は標本作成です。植物はさく葉標本にします。「形を整えて新聞紙にはさむ」と聞くと簡単に思えますが、実に様々なテクニックがあります。水草のエキスパートに教わりながら標本の作り方を学べるというのは、とても贅沢な時間です。先生方に教わりながら、みんなで100年残る標本を目指してつくりました。
▲植物標本を作成している様子
動物は液浸標本にします。魚とカエルは種を記録してから元の池に戻しましたが、昆虫や貝類などの無脊椎動物は70%エタノールで固定し、バイアル瓶に保存しました。バイアル瓶には70%エタノールを充填し、ラベルも一緒に保存します。ラベルには「いつどこで採られたか」が書かれており、標本とセットで保存されることが重要です。
▲液浸標本を作成している様子
今回の調査では、ミズオオバコやサンショウモ、キタノメダカやゲンゴロウなど、絶滅危惧の動植物が多数記録されました。生物多様性が豊かなため池であることが分かります。それだけに、条件付特定外来生物であるアメリカザリガニが侵入し、これらの生き物たちの生育・生息が脅かされているというのは、非常に悲しい現実と言わざるを得ません。
▲ミズオオバコとサンショウモ
そのときの生物多様性を記録することは、とても大切な行為です。もしかすると、今回確認された生き物のなかには、来年にはいなくなってしまうものがいるかもしれません。もともと何がいて、いつ何がいなくなったのか。それを知るために、調べて、記録して、標本を残すことが、地域の生物多様性を保全する最初の一歩になるでしょう。
▲今年5月につくったさく葉標本