「森の学校」キョロロ周辺で確認されたヒメガガンボ科の昆虫が、その採集地にちなんで Dactylolabis kyororo という学名で新種記載されました。キョロロが十日町市産標本をもとに新種記載した昆虫として6種目となります。
1.論文概要
・出版雑誌:Zootaxa(動物分類学に関するニュージーランドの国際学術雑誌)
・出版日時:2023年11月22日
・論文タイトル:Taxonomic study of the genus Dactylolabis Osten Sacken, 1860 of Japan (Diptera: Limoniidae).(日本産コケヒメガガンボ属の分類学的研究(ハエ目:ヒメガガンボ科))
<論文URL https://www.biotaxa.org/Zootaxa/article/view/zootaxa.5375.2.4 >
・著者:Daichi Kato(十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ 加藤大智研究員)
・概要:日本産コケヒメガガンボ属の種はこれまで2種が知られていたが、日本全国で採集した標本や、アメリカのスミソニアン博物館に保存される標本などを調査した結果、新種1種を含む3種にまとめられた。新種となった1種は全国の調査のなかで、キョロロにおいて初めて確認された種で、その採集地にちなみ、学名をDactylolabis kyororoとして新種記載された。
2.今回の新種の概要
今回新種となったDactylolabis kyororo (和名:キョロロコケヒメガガンボ)はハエ目ヒメガガンボ科の昆虫で、2021年にキョロロの森の沢付近で初めて1個体が採集された。その後、2022年に新発田市で1個体、2023年にキョロロ敷地内で1個体が追加採集されている。これまで全国的に調査しているなかで、本種が確認されているのがキョロロを含む2地点のみである点から、希少度の高い種の可能性がある。これまでのキョロロの一連の新種発見により、里山の生物多様性の理解の深化につながることを期待する。
▲Dactylolabis kyororoの形態や分布の特徴
▲Dactylolabis kyororoの採集地の一つ
▲Dactylolabis kyororoの生体