【開催報告】第9回つまり市民里山学会

3月4日(土)十日町情報館にて、第9回つまり市民里山学会を開催いたしました。会場が満員に迫るほどの多くの皆様からご参加いただき、妻有地域の里山で体験交流、野生動物の保全、歴史の解明に関わる5名の方々からご発表いただきました。


トップバッターは松代地区でアウトドア体験を通じて地域の魅力発信を実践しているYabukozaki Outdoorsの小山さん。会の前にもスノーシューガイドを済ませて駆けつけていただきました。スノーシュー体験やニホンミツバチワークショップをはじめ、農業体験や海外のお客様の対応など具体的な実践例と共に、人材育成といった課題についてもお話いただきました。


続いては、津南町で地域おこし協力隊をされている松本さんから、三箇地区で実施している都市との交流事業についてお話いただきました。これまでの実績と共に、交流事業を通じて気づかされた地域の魅力、受け入れ側と参加者の意識のズレ等についての具体例を紹介いただき、交流事業を通じて変化してきた地域の方々の意識についても言及いただきました。


松之山野鳥愛護会の村山さんからは、松之山地域で市民が中心となって展開している絶滅危惧種の鳥ブッポウソウの保護活動についてご紹介いただきました。巣箱カメラを設置した営巣観察により、無精卵の除去、再産卵、巣立ちにいたる過程についてご報告いただき、渡り経路の解明に向けた新たな取り組みへの挑戦についてもご報告いただきました。


妻有地域には卒論や大学院研究でも多くの学生さんが研究活動をされており、今回は新潟大学大学院博士課程の出口さんから、絶滅危惧種の鳥ノジコの生態に関する研究成果を発表いただきました。中山間地での耕作放棄地の増加が、妻有地域で高密度に生息しているノジコの生息環境にどう影響するのかについて、中長期的な視点からの保全の必要性について科学的データをベースにお話いただきました。


最後は十日町古文書整理ボランティアの高橋さんから、市内で発見された日本最古の瞽女(ゴゼ)弟子入り証文について、そこから読み解ける当時の風土や人々の生き方についてお話いただきました。発見された証文に登場する人物から読み解かれた家族関係とその変化や、当時の盲目の女性の瞽女という生き方の選択について、深い考察をご報告されました。


質疑応答ではそれぞれの活動の課題や将来展望についての建設的な議論が展開され、来場された皆さんからのアンケートには「自分たちの活動にとても参考となった」「地域内の素晴らしい活動を知る機会となった」「若い方々の精力的な活動に感動した」などのお言葉をたくさんいただきました。

第9回を迎えた「つまり市民里山学会」ですが、ご発表いただいた活動の目的や手法を学びながら、つまり地域の地域資源の価値や魅力の発信に関わる活動がさらに実り多いものとなるよう、第10回の開催に向けて今後もこの会を機能させていきたいと思っております。ご発表いただいた発表者の皆様、ご来場のみなさま大変ありがとうございました。

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撮影日:2017年3月4日

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