7/10 ハナアブしらべの結果報告

今回のハナアブしらべはキョロロの森ではなく、キョロロから車で10分弱ほどの距離にある東川トンネル周辺で実施しました。現在キョロロの森ではハナアブなどがよく集まる花があまり咲いておらず、採集が難しいと判断したためです。東川トンネル周辺では多くのケナシミヤマシシウド(ミチノクヨロイグサ)の花が咲いており、午前中の下見の段階ではハナアブを含む多くの昆虫が集まっているのが見えました。しかし残念なことに開始してから間もなくパラパラと雨が降り始め、雨雲の動きの予想に反して土砂降りとなることもありました。雨がほぼ降っていなかった序盤では花に集まるハナアブなどの昆虫がそれなりに見えましたが、雨が降ると多くの昆虫はどこかへ姿を消してしまうため、なかなか厳しい調査となりました。そんな状況でしたが、今回の参加者8名には雨に濡れながらも最後まで頑張って採集していただきました。誠にありがとうございました。

採集できたハナアブは今回5種で、そのうち前館長採集のオオヒメヒラタアブは松之山未確認の種でした。Mご一家が採集されたマツムラクロハナアブは今年初確認でした。

①ミナミヒメヒラタアブ 4♂

②ホソヒラタアブ 3♂7♀

③オオヒメヒラタアブ(松之山初確認!)1♂

④キアシマメヒラタアブ 1♂

⑤マツムラクロハナアブ 1♀

午前中の下見の段階では少なくともこの2倍の種数は採れそうな気がしていて楽しみだったのですが、天気に期待を裏切られてしまいました。あの珍ハナアブの仲間であるベッコウハナアブ類も花に集まるため期待していましたが、なかなか簡単にはいきません。しかし、今回も松之山未確認のハナアブが採集され、キョロロ前館長によって1種追加されました。さすがは前館長!これで松之山のハナアブは合計43種となりました。

 

ハナアブ以外のハエ目トピック

1.K君が日本最大のガガンボ、ミカドガガンボを手づかみでの採集に成功しました。通常は近づいたら素早く遠くへ飛んで行ってしまうため、手づかみ採集は困難です。暗いトンネル内の壁にとまっていたミカドガガンボをK君が見事に見つけてその大きさ・形の威圧感に臆することなく手づかみした姿には感動を覚えるほどでした。ガガンボを研究している私ですらおそらく小学生の頃に手づかみする度胸はなかったでしょう…。

2.ヒメシマクサアブが現れました。このアブは体長2cmほどで、分布が局所的で珍しい種とされており、絶滅のおそれのある野生生物のリストであるレッドデータブックで「情報不足」と評価され、絶滅危惧種の候補者となっています。「情報不足」であるのは、そもそも発見例が少なく、個体数が減少しているのかどうかが把握しづらいためであると考えられます。今回私も初めてこの種を見ることができ密かに興奮しました。

次回のハナアブしらべは8/14(土)13:30-16:00に行います。この時期は標高の高い涼しいところの方がハナアブが採れると予想されるため、標高900mほどの天水山付近で実施することを検討しています。次回はお盆の時期と重なりますが、皆様のご参加をお待ちしております。

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