展示中の2匹の青アマガエル、片方はほぼ緑に変わる

今年の6月下旬と7月上旬にそれぞれ別のお客様から寄贈いただいた2匹の青いアマガエル。7月28日のブログで紹介した青いアマガエルは、いただいた当時は完全に青色だったのですが、あれから徐々に色が変わっていき、7月25日の時点でもすでに背中に緑が混じり、今ではほぼ緑色一色になりました。ただ、よく見ると脇のあたりと目の周辺にかろうじて青い部分が残っています。

一方でその次に届いた青アマガエルは一向に色が変わる様子がありません。この2匹のアマガエルの顔をよく見ると表情が違って見えます。緑色に戻った方のアマガエルでは目から鼻の穴に向かって伸びる茶色の線が太く、鼻の穴を超えて口の方に少し伸びています。青アマガエルはその線が細く、鼻の穴のところで終わっています。この模様のせいか、青アマガエルは鼻下がより長く見えてしまいます。アマガエルの顔にもちゃんと個性があるのですね。

青いカエルは皮膚にある黄・虹・黒色細胞のうち、一番表面側にある黄色細胞がないか、非常に少ない状態である個体です。青色個体はアマガエルとトノサマガエルで知られていて、アマガエルでは遺伝性がなく、トノサマガエルでは遺伝性があるという研究結果があります。その青いアマガエルの研究(Nishioka and Ueda, 1985)では、青いメスと正常の色のオスからなる受精卵からは全て正常の色のアマガエルが誕生し、青いメスの受精卵に特殊な処置を加えることにより、そのメスの遺伝子情報のみからなる受精卵を作り子孫を得たところ、すべて正常の色のアマガエルが生まれたということです。色素異常についてはまだまだ説明できない事例が多くあり、色がもとに戻る現象についても詳しくわかっていないようです。外見上同じ色素異常に見えても、遺伝子や細胞レベルで見るとその原因は一つではなく、様々な要素が組み合わさることがあるためです。この2匹の青アマガエルが見せてくれた黄色細胞の回復の有無というのもミクロなレベルでは何か重要な違いが隠れているのかもしれません。

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