笑顔?の面を持つカメムシ

 

背中に大きな人の笑顔のような模様があるカメムシをご存じでしょうか?このように白と黒の模様で、白い顔をした人が大きな口を開けて笑っているように見えます。この模様には個体差があり、写真は松之山住民の方が発見した2個体ですが、よく見ると全く違う”表情”をしています。

 目・口の形、鼻の有無、アゴの先端あたりの模様、腹部の大きさに特に違いがあり、右の個体はより人の顔に見えますね(あの有名なホラー映画で存在感のある、白い子供の霊にも見えてしまいます!)。ネット上にある多数の写真を見てみると、ほとんどの場合この口の中に白い点が数個あり、鼻の輪郭となるような黒い筋が入る例は少ないようです。幼虫の模様の意味については詳しくわかっていないようですが、白と黒でツヤがあり、鳥の糞に擬態して外敵から身を守っているのではないかという説もあります。

 さて、このカメムシの正体を明かしていませんでしたが、これはアカスジキンカメムシの終齢幼虫です。自然豊かな野山だけでなく、住宅地のちょっとした林・家庭菜園などでも見られる、決して珍しくはないカメムシです。この時期になると集団で落ち葉の中や樹皮の隙間などで越冬します。たくさんの個体が見つかれば、個体それぞれの個性的な“顔”を観察するのも面白いかもしれません。ちなみに成虫は全く違う模様で、緑に赤の独特な模様があり、「歩く宝石」と言われるほど綺麗です。キョロロのZoomuseeで成虫・幼虫の超拡大写真が見れますので是非見てみてください。

 

アカスジキンカメムシ(学名:Poecilocoris lewisi (Distant, 1883)

分類:カメムシ目キンカメムシ科

分布:本州・四国・九州、台湾、中国

エサ:様々な落葉広葉樹(コナラ・ミズキ・フジなど)・常緑広葉樹(アオキ・ツバキなど)、針葉樹(スギ・ヒノキなど)の葉・枝・果実から吸汁

その他:羽化直後の成虫は黄色い。稀に緑ではなく黒い個体が現れるが、水に濡らすと緑に戻るという情報も。

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