【開催報告】第14回つまり市民里山学会
日曜日, 9月 1st, 20248月24日(土)に第14回つまり市民里山学会を十日町情報館を会場に開催しました。
十日町市と津南町からなる妻有(つまり)地域の里山の自然や文化に関する5つの発表が行われ、活発な質疑が行われました。
今回はじめての8月開催となりましたが、たくさんの皆さまからご参加いただきました。
妻有木育推進協議会の高橋さんからは「妻有地域における木育推進活動について」と題して、妻有地域で展開されている木育推進活動の経緯や拡がりについてご発表いただきました。
「木育」をキーワードに地域内の個人・団体の有志組織でスタートした協議会の設立の経緯や、「森のめぐみふれあい木育体験」「つまり木育フェスタ」といった参加体験型のイベント開催などをご紹介いただきました。木育活動が地域内でどんどん拡がりを見せている様子が伝わり、今後のご活動に期待です!
新潟大学大学院の冨成さんからは「地域交流活動と研究活動を通して感じた松之山の魅力」と題して、松之山地域での交流・研究活動を通じて感じた地域の魅力・課題についてご発表いただきました。
松之山下川手集落との交流を通じたお米作り・道普請などの活動や、地域の方々のやさしさ・地域資源の価値などの魅力をご紹介いただきました。またそんな地域交流活動をきっかけに修士論文の調査地としても研究活動を展開され、棚田地帯ならではの水の利用・管理と、その結果見られる生物多様性の特徴について発表いただきました。「ここに私の居場所がある」という言葉がとても印象的でした。
文化財虫菌害研究所の岩田さんからは「松之山付近の止水性水生甲虫について」と題して、松之山地域の水生甲虫の特徴とその生息環境についてご発表いただきました。
学生の頃から松之山で調べられてきた貴重なデータから、松之山地域の水生甲虫相のリストや生息環境、また確認が期待される種などを生態写真と共にご紹介いただきました。ため池がたくさんある、ため池の植生が豊か、侵略性の高い外来種がいない(少ない)、護岸工事がされてないなど、水生甲虫が多い理由について里山ならではの景観・植生の特徴からご紹介いただきました。参加者の方からは調査希望のお話もあり、今後の調査研究の進展も期待されます。
津南町自然に親しむ会の石澤さんからは、「地域の自然を次世代に~津南町自然に親しむ会の活動及びその歴史と課題~」と題し、町民を中心に40年以上継続されている自然に親しむ活動について、その歴史と課題についてご発表いただきました。
1973年に「津南町少年植物友の会」として発足され、その後少年会員だけではなく一般社会人も加わる中で40年以上にわたり自然を対象とした活動が展開されてきました。これまで発刊されてきた冊子・活動内容・参加者のご感想など、多岐にわたる活動内をご紹介いただきました。長く活動を続けられている価値と共に、その中で現在抱えている課題もご紹介いただき、活動を「続ける」ことの意義や大変さも、会場の皆さんとの質疑応答の中でも共に考える機会となりました。
キョロロの小林学芸員からは「多くの目で自然を見続ける-市民参加型生物調査「花ごよみしらべ」から-」と題し、キョロロで18年間開催している「花ごよみしらべ」の成果について発表がありました。
18年間の花ごよみしらべで確認した植物、開花植物が多い季節、特徴的な植物のおもろい生態などの紹介や、市民参加型調査ならではのメリットなどが紹介されました。
5題の発表に対して、会場からはたくさんの質問が飛び交い、活発な質疑応答が繰り広げられました。
つまり市民里山学会は、市民の皆さんの活動について発表する場を設けることで、お互いに学びや交流を深め、活動内容の充実を図ることを目的としています。
地域の自然や文化の価値の理解を深め、そしてその保全や活用に向けて、市民の皆様の今後の積極的な取り組みの一助となりますことを、今後とも期待しています。