Archive for 2月, 2025

【雪の森へ!】2月の「ブナの森のようちえん」

火曜日, 2月 11th, 2025

2月1日(土)に2月の「ブナの森のようちえん」を開催しました。
降り止み始めた雪の中、新雪が降った森は2m50cmほどの積雪。
子どもたち、お父さんお母さんといっしょに雪いっぱいの森へ出発です!

新雪がつもった細い杉の木をみんなで揺らしてみました。
細いといっても20cmほどの太さの木を揺らすのは人間のチカラではなかなか大変。
人数が集まるとその振動は葉まで伝わり、柔らかい「雪のシャワー」がフワ~っと舞い降りてきました!

足元に目を落とすと、小さな生き物が!「雪虫
」と呼ばれる、トビムシなどの小さな昆虫が雪上に現れていました。
雪に飛び出たオニグルミの枝をよく見ると「葉痕」が顔の模様(目や口)のように見えます。自分の顔に似ている葉崑を探しました!

スノーシューを履いてズンズンと雪の上を歩きます!

寝転んだり、

学芸員をみんなで埋めたり、

後半は棚田の地形をつかった雪あそびです。
冬の「ブナの森のようちん」名物となっている「トンネル型滑り台」が今年も登場!
ビニールをお尻に敷いたり、昔ながらの藁+肥料袋でつくった「ケツぞり」で滑り降ります。
何往復もする子どもたちの体力がスゴイ!

松之山の奇祭「婿投げ」をお父さんからしてもらったり(笑)

雪像づくりも楽しみました。
ブナの枝、ネマガリダケの葉、ナンテン、ヤマノイモのツルを材料にした大きな雪だるまも完成!

こちらは、風の谷のナウシカに出てくる「王蟲(怒りバージョン)」です!

大人も子どもも一緒に、雪いっぱいの松之山で生きもの観察や雪遊びなど五感で里山を思いっきり体験しました。
今年度の「ブナの森のようちえん」は今回が最終回です。
ご参加いただいた皆様に感謝申し上げます!

【山仕事の無事を願う】「十二講」里山の伝統文化体験

日曜日, 2月 9th, 2025

2月9日(日)に山仕事の無事を祈る里山の伝統行事「十二講」イベントを開催しました。
かつての雪里では雪が降り積もっているこの時期に山に入り始め、伐った木を雪ぞりを使って運び出しました。
「十二講」は山仕事の無事を山の神様に祈願する伝統行事。現在では人と山の関わり方が変化したこともあって、松之山では数十年前に途絶えてしまいました。
人と自然とのつながりを色濃く感じられる行事を、キョロロではイベントとして開催し継承しています。

学芸員から十二講について・イベントの流れについて説明があった後、藁を使って弓矢づくりの縄を作るところからスタートです。
まずは「藁すぐり」。手を櫛のように使い、長い藁以外の短く細かい葉を除去していきます。

次に藁を綯いやすいように、藁をたたいて柔らかくしていきます。
ここでは「ヨコヅチ」と呼ばれる、イタヤカエデなどで作られた木槌を使います。


トントンとにぎやか。藁の香りに包まれます。

やわらかくなった藁を使って、自分の身長くらいの長さになるまで藁縄を綯います。

完成した藁縄と、ネマガリダケを使って各自弓矢を作ります。
藁縄は「とっくり結び」でネマガリダケに結んでいきます。

お供え用に、藁筒「ワラツトッコ」に米粉で作った小さなお団子「カラコ」を入れます。
集落ごとにワラツトッコに入れるカラコの大きさや数が違い、キョロロでは小さく丸めたものを12個入れる松之山浦田地区のスタイルで行っています。

最後に会場の外、3mほどある雪の上に弓矢と共に飾り、今年の恵方に向かい山仕事の無事を祈願しました。
山での皆様の活動が、今年も無事に行えますように、雪深い里山からお祈り申し上げます。

【研究報告】昆虫の進化に関する共同研究の成果が米国の科学雑誌へ掲載

土曜日, 2月 1st, 2025

キョロロの研究員による共同研究の成果が、1月29日付で米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」にて出版となり、筑波大学・愛媛大学・大分大学・北里大学と共同で1月31日付でプレスリリースされました。

一般的に「昆虫」はトンボやバッタ、カブトムシなどの「翅」を持ち、「脚を6本もつ」生き物であると認識されています。しかし昆虫が翅を獲得する以前の祖先的な形態を今なお保持する、生きた化石ともいえるような昆虫たちがいます。中でもしばしば昆虫という枠組みから外されることもある、カマアシムシ類(図1)、トビムシ類(図2)、コムシ類(図3)という3種類の昆虫は「昆虫がどうやって地球上に出現したのか」を理解する上で重要なグループです。



この3種類の原始的な昆虫とトンボやバッタといった狭義の昆虫との間の進化的な繋がり(系統樹)を解き明かす試みはこれまでも数多くの研究者によってアプローチされてきました。特にMisof らによる研究(Misof et al., 2014; DOI: 10.126/science.1257570)は膨大な遺伝子の配列データセットから昆虫全グループの系統樹を描き出し、上記の3グループの系統関係を含めて昆虫の進化について信頼性のある仮説を提唱しました(欠尾類―有尾仮説, 図4A)。

一方で近年になって南京農業大学のDuらは同じく大規模な遺伝子の配列データセット用いてMisof らによる研究とは異なる系統樹を導き出しました(カマアシ類―姉妹群仮説, 図 4B; Du et al., 2024; DOI: 10.1073/pnas.2423813122)。さらに自らの系統樹を支持する形態や胚発生のデータを示し、自身らの導いた系統樹の信頼性を主張しました。しかしながら本論文で Du らの研究で用いられている形態学や発生学のデータを検証したところ、Du らの研究ではそれらのデータへの理解が十分でなく、また引用も適切でないことが明らかになりました。こうした観点から本論文では形態学的、発生学的データからは Du らの提唱した系統樹は支持されず、Misof ら(2014)の「欠尾類―有尾類仮説」を改めて支持しました。

【題名】Embryology cannot establish the “Protura-sister”. 発生学は「カマアシムシ類-姉妹群仮説」を認めない
【著者】R. Machida, M. Fukui, S. Tomizuka, Y. Ikeda, K. Sekiya, and M. Masumoto
【掲載誌】Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
【掲載日】2025年1月29日
【DOI】10.1073/pnas.2423813122
【URL】https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2423813122
【資料】http://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/wp-content/uploads/PNAS2025PR.pdf