【プレスリリース】松之山で新種昆虫2種を発見しました。

十日町市松之山の天水山で採集されたヒメガガンボ科の昆虫2種が、「森の学校」キョロロの加藤大智研究員の発表した論文により、新種「 Eloeophila apicisetula」、「Eloeophila tergilobellus」として認められました。キョロロでは昨年12月にも新種ガガンボの発見を発表しており、松之山で新種昆虫の発見が相次いでいます。

1.論文概要
・出版雑誌:「Zootaxa」(動物分類学に関するニュージーランドの国際学術雑誌)
・出版日時:2021年7月1日
・論文タイトル:「Taxonomic study of the genus Eloeophila Rondani, 1856 of Japan (Limoniidae, Diptera).」(日本のEloeophila属の分類学的研究)
<論文URL https://www.mapress.com/zt/article/view/zootaxa.4995.3.2
・著 者:Daichi Kato/十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ 加藤大智研究員(専門…ハエ目の分類学)
・概 要:日本産Eloeophila属の種はこれまで9種が知られていたが、国内各所で採集した標本、アメリカのスミソニアン博物館に保存される既知種の新種記載時に用いられたタイプ標本の調査をもとに、5新種が認められ、既知の2種と1亜種は国内外の種と同種と判断された。その結果、日本産の本属の種は13種となった。

2.十日町市からの新種2種の概要
・本論文の5新種のうち、2種(「Eloeophila apicisetula」・「Eloeophila tergilobellus」)が、十日町市で採集された個体をもとに新種記載された。2種の学名はそれぞれ特徴的な「翅の先端付近の微小な毛の列」、「オスの腹部第7・8節の小突起」に由来する。
Eloeophila属の新種が論文掲載されたのは、日本では1976年以来45年ぶり。
・十日町市での採集地は松之山の天水山の標高900m付近のブナ林で、当地域以外にも東北・中部地方でも発見されている。なお、昨年12月に発表された新種の「Ulomorpha longipenis」は、北海道から九州から広く分布している。
・キョロロの一連の新種発見は、身近な自然環境でも新種が見つかる可能性を示す好例で、展示公開や環境教育活動での活用とともに、地域の自然環境の保全や生物多様性の理解の深化を期待する。

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