Archive for 10月, 2021

10月ハナアブしらべの活動報告

日曜日, 10月 10th, 2021

10月9日のハナアブしらべは小雨からのスタートだったもののすぐに回復し、程よい晴れ+曇りの天気でした。湿った場所では必ずと言っていいほどよく見られるミゾソバの花にはたくさんのハナアブが来ており、その他の場所でも全体的に個体数が多いように見えました。今回は4名の参加者にハナアブを採集していただきました。調査のご協力ありがとうございました。

今回の結果は過去最高の種数・個体数となり、採集されたのは14種39個体と圧倒的な結果でした そのうち4種は去年からのハナアブ調べで初確認で、松之山または十日町市レベルで未記録のものでした。今回採集された種は以下の通りです。

①キアシマメヒラタアブ 2♂(十日町市未記録)

②ホソヒメヒラタアブ 4♂5♀(松之山未記録)

③スルスミシマハナアブ 2♀(今年初・十日町市未記録)

④マツムラクロハナアブ 2♂(十日町市未記録)

⑤キスネクロハナアブ 1♂1♀(今年初・松之山未記録)

⑥ナガヒラタアブ 1♀(初確認・十日町市未記録)

⑦マダラコシボソハナアブ 1♀(十日町市未記録)

⑧ホソヒラタアブ 5♂3♀(松之山未記録)

⑨シロスジベッコウハナアブ 1♀(初確認・十日町市未記録)

⑩ナガツヤヒラタアブ 2♀(新潟県未記録)

⑪タカネムツモンホソヒラタアブ 1♀(初確認・十日町市未記録)

⑫ホソツヤヒラタアブ(?) 1♂1♀(十日町市未記録)

⑬コハナダカチビハナアブ 2♀(今年初・松之山未記録)

⑭シマハナアブ 1♀(初確認・松之山未記録)

赤字は去年からのハナアブ調べで未確認だった種で、新たに4種が松之山のハナアブリストに追加されます。⑥のナガヒラタアブは十日町市レベルで未記録のもので、広く平らで細い黒条があるのが特徴の種です。陰ったところで多く見られる印象があります。⑨のシロスジベッコウハナアブは成虫がスズメバチ類の巣の中に卵を産み、幼虫は巣内の死骸を食べて育つという変わった生態をもつ大型のハナアブです。去年採集された珍ハナアブは、この種に近縁な新種である可能性があります。⑪のタカネムツモンヒラタアブは十日町市レベルで未記録の種で、北海道と中部以北に分布が限られる種です。和名に「タカネ」とあるように標高の高い雪の多い地域と関連が高い種なのかもしれません。⑭のシマハナアブはどこでもよく見られる種で十日町市からも記録があるほどですが、なぜかこれまで松之山から発見されていませでした。また、1週間ほど前にMご一家が大厳寺高原で採集した本種を頂いています。

今回は前回よりもさらにハナアブが多く見られ、採集が容易で楽しく調査ができたのではないかと思います。次回のハナアブ調べは今年最後となり、11月13日(土)13:00から行われます。活動する昆虫がどんどん減っていく時期でハナアブも少なくなると思いますが、まだ0にはなりません。真冬でも天気さえよければハナアブが飛び出すことがあるのです。寒い時期まで粘り強く生きているハナアブが気になる方がいましたら是非ご参加ください。

 

おまけ

今回のハナアブしらべで、クロバナノヒキオコシという花に来る2cmほどの細長いハチのようなアブがたくさんいました。まず、ハネが2枚しかないのでハチ目ではなくハエ目の仲間です。ハナアブのようにホバリングして空中でピタッと止まるように飛べるため、ハナアブを見慣れた方こそハナアブと見間違えるかもしれません。今回の参加者も採集していました。これはハナアブ科ではなく、スズキハラボソツリアブというツリアブ科の一種です。このハラボソツリアブというグループの一部の種ではイラガの幼虫に内部寄生することが知られていますが、日本産のハラボソツリアブ5種の寄生先はどれも分かっていないようです。たくさん見られる種ですので一生懸命に動きを追っかければ寄主がわかるかも?

光に集まる虫を観察「夜の昆虫探検2021」

金曜日, 10月 8th, 2021

昼間の森ではなかなか見ることのできない昆虫たちを、ライトトラップで観察する「夜の昆虫探検」。
今年は7・8月に大厳寺高原キャンプ場を会場に、9月にキョロロの森を会場に、計3回開催しました。

ライトトラップでは昆虫が光に集まる性質を利用して昆虫を集めます。
今年はどんな昆虫が見つかったでしょうか?

9月にキョロロの森を会場に開催した際には、「ヤママユガ」や「クスサン」といった蛾の仲間ををたくさん観察することができました。
これらはブナ科を中心とした植物を幼虫の時期に食べて育ちます。周辺の森が育んだ大きな蛾たち、迫力があります。
蝶ネクタイのように襟元に止まったシーンも。蛾ネクタイですね(笑)

こちらは「ケラ」です。
普段は田んぼ周辺などの地面に穴を掘り暮らしていますが、コオロギの仲間で翅をこすり合わせて鳴きます。
ちゃんと翅を使って飛んできたことがわかります。

こちらはステルス爆撃機のような形をしている「クロホウジャク」という蛾です。
ハチドリのように高速で羽ばたきながら花の蜜を吸うことができます。

クワガタやカミキリムシといった甲虫、セミ、ハチ、トビケラや蛾など、今年も夜の昆虫探検で昆虫の多様性を観察することができました!

ひっつき虫を集めよう!-探求型自然体験イベント「キョロロ生物部」④-

木曜日, 10月 7th, 2021

9月の「キョロロ生物部」は『ひっつき虫を集めよう!』をテーマに開催しました。ひっつき虫とは、動物の体に付着して広がる種子散布様式をもつ植物の種子(果実)のことで、種子の表面には特徴的な構造やネバネバの粘液をもち、動物の体や衣類に付きます。
自分自身がタオルを体から垂らし動物になりきり、いろいろな里山の環境を歩きひっつき虫を集め、その特徴を探りました。

最初に何種類くらいのひっつき虫が集まりそうか予想し、その後森のふち、森の中、田んぼの周り、草原を歩き回りました。

おや!さっそくタオルに引っ付き虫がつき始めましたね(ヌスビトハギ)。

タオルに付着したひっつき虫を一つ一つ取り外し、種類ごとに分類しその数を計測していきます。
どんなひっつき虫がついていたかな?



調べた結果、ヌスビトハギやチカラシバ、チヂミザサ、イノコヅチ、キンミズヒキ、ミズタマソウなど7種類のひっつき虫を集めることができました。
まとめてみると、森のふちに多かった種類や、森の中に多かった種類があったりと、それぞれ特徴を考察しました。

さらにそれぞれのひっつき虫を顕微鏡で拡大し、どんな特徴があるのかを観察しました。
小さなとげがたくさんついていたり、とげに返しがついていたりと、なぜひっつき虫が付着するのかを確認しました。

タヌキの剥製にしっかりとくっつくひっつき虫(イガオナモミ)。
動物に付着し種子散布されるということを、実際に毛皮につけてみて確認しました。

\調べるって、楽しい!/
「キョロロ生物部」は里山の生き物をテーマに、予想→調べる→考察するという科学的な思考を毎回体験し、楽しく里山の生き物を調べます。科学の考え方を楽しく学ぶ体験を通じて、子どもたちの「探究する力」の育成を目指すイベントです。結論はみんな違ってみんな良し◎です。今年度は5月からスタートし、「観察する」「数える」「比べる」などをテーマに、自分たちの手で里山の生き物を調べ、探求します。小学生以上を対象に、11月まで毎月第4日曜日(8月は第5)に開催します。生き物が好き、調べることが好き、地域の自然をもっと知りたい子どもたちのご参加をお待ちしています。

2021年のテーマ
8月:「ザリガニがいる・いない池の生き物を比べよう」
7月:「ダンゴムシ迷路の謎解きに挑戦」
6月:「オタマジャクシを色と形で分けてみよう」
5月:「水生生物の形や動きの観察」