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【SDGs】雑木林の間伐とクロモジのお箸づくり。里山の生き物サポーターズ⑤

土曜日, 10月 30th, 2021

「里山の生き物サポーターズ⑤」を10/30(土)に開催しました。「里山の生き物サポーターズ」は里山管理活動と連動したボランティアの皆さんの協力による生物多様性保全活動です。里山の田んぼ、ため池、森、草地をフィールドにした里山管理活動を通して、みんなで楽しく生き物が暮らしやすい環境の創出や維持、そして自然の恵みを楽しむ活動を目指しています。
第5回(10/30)は「間伐木を集めて昆虫ハウスづくり+クロモジのお箸づくり」をテーマにしました。間伐木を集め昆虫の産卵床や隠れ家(昆虫ハウス)をつくります。このような雑木林の低木伐採は燃料の確保のために行われてきた伝統的な里山管理で、松之山では「ボイ伐り」と呼ばれています。燃料として森林資源をほとんど使わなくなった現在、キョロロの森の中にもこういった管理が停止した低木の群落が多く見られます。間伐により林床の光環境が改善することで、林床を生息環境とする様々な植物の成長を促す効果もあります。また林内がすっきりすることで、森林性の猛禽類なども生息しやすい環境になることも期待しています。
今回は間伐した樹木(オオバクロモジ)を材料に、お箸づくりも行いました。クロモジはクスノキ科の低木で、葉や樹皮にとても爽やかな芳香を持っています。クロモジはその香りから和菓子の楊枝に使われたり、最近ではアロマオイルやクロモジ茶としても活用されています。

このフィールドは「木育」をテーマとした自然体験イベントでも整備を続けている場所です。
活動エリアを広げる形で、低木の間伐と昆虫ハウスとして間伐木を集め積み上げる活動を行いました。予め選定しておいた対象木をノコギリを使って伐採します。
今回参加していただいた小学生は、最後まであきらめずに時間をかけ足の太さほどあるタニウツギをノコギリを使って伐ってくれました!

こちらは周囲の木の太さを同じくらい太いフジのツルです。フジは春になると紫色のとても美しい花を付け、山々が紫色に染まります。
しかし地域の方々のお話では、昔は森林管理の中でツルが細いうちに伐ったため、今のように花が咲き乱れるほど繁茂することはなかったとお聞きします。
里山の管理が停止したことによる、景観のj変化の一つですね。

液果を実らせる樹木、昆虫が訪花する虫媒花の樹木、子どもたちが遊べそうな木など、活動の中では“伐らない木”も皆さんと考えながら選定し活動を進めていきます。
森のようちえんなどの木育イベントの会場としても活用していきたいと考えています。


この活動で伐採したコナラにキノコが生えていました。
そしてよく見ると、昆虫がキノコを食べた痕や、小さなトビムシが集まってきています。
間伐が生き物のすみか、餌場の創出につながり、「生き物同士のつながり」が生まれているシーンも観察することもできました。

今回は伐採木のクロモジを使ってお箸づくりも体験しました。
適当な太さの枝を伐り、小刀を使って削ります。生木ですので比較的削りやすく、自分の手のサイズに合った箸を皆さん各々作られていました。
クロモジなので香りもGOODです!早速今日のキャンプに使っていただけるそうです。

今回の「里山の生き物サポーターズ」では、雑木林の管理活動と生き物のすみか作り、間伐材を使った自然のめぐみ(お箸づくり)体験を楽しむことができました。
次回は11/20(土)に開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております!

<里山の生き物サポーターズ>
キョロロでは里山管理活動と連動した市民参加型の生物多様性保全活動「里山の生き物サポーターズ」を実施しています。木を伐る、草を刈る、水環境を管理するといった伝統的な里山管理が、多くの生物の生息環境の創出や維持につながることに注目し、「里山の生物多様性の保全」という目標を共有し、自然のめぐみも楽しみながら里山管理活動を参加者の皆さんと実践するものです。近年、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて、私たちの生存の基本である衣食住を担う「生態系サービス(生態系からの恵み)」の持続可能性が、重要なテーマとして認識されています。人間活動の影響を受けて持続的に維持されてきた里山は、持続可能な社会形成に向けた環境-人間のつながりを考える上で、実践的な学びや行動の舞台として適した場所の一つだと私たちは考えます。「里山の生き物サポーターズ」は、里山の生物多様性の保全を目的に誰もが参加できるボランティア参加型のイベントです。里山に関わる一人一人の行動が、里山の持続的な暮らしと生物多様性のつながりの実感に結び付き、里山の生物多様性の保全やその達成に向けた教育資源となることを期待しています。